聖マリアンナ医科大学病院の挑戦。 生殖医療センターにて、不妊治療のオンライン相談がスタートする背景とは?

聖マリアンナ医科大学病院 産婦人科医長のインタビュー

 

 オンライン診療事業を展開するエムティーアイのグループ会社(株)カラダメディカは、7月2日(木)より産婦人科に特化したオンライン診療サービス『ルナルナ オンライン診療』を、聖マリアンナ医科大学病院へ提供しています。同病院では現在、『ルナルナ オンライン診療』を活用し、まずは不妊治療のオンライン相談を開始しています。

 今回、聖マリアンナ医科大学病院の産婦人科医長である洞下由記先生に、不妊治療のオンライン相談導入の経緯や、今後臨床現場でのオンライン相談・診療の活用により期待できる効果などについて詳しく伺いました。

 

 

洞下先生のプロフィール

洞下由記

聖マリアンナ医科大学 大学病院 助教 

大学病院産婦人科医長

平成14年聖マリアンナ医科大学医学部卒

専門/担当分野:生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療

日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医

 

●インタビュー日:2020年6月25日

 

あらゆる患者にオープンな生殖医療センターだからこそ、不妊治療にも様々な選択肢が存在。
聖マリアンナでの治療を求めて、全国から患者が訪れるケースも。

聖マリアンナ医科大学病院の生殖医療センターの特徴を教えてください

 聖マリアンナ医科大学病院 生殖医療センターの特徴として、一般不妊から難治性不妊まで幅広く診療している点が挙げられます。大学病院での治療のメリットは選択肢が多いことで、例えば薬物療法が無効の多嚢胞性卵巣症候群や子宮内膜症に対して腹腔鏡下手術が可能であったり、卵管が狭窄・閉塞している患者さんには卵管形成術を行ったりなど、体外受精だけではなく自然妊娠も諦めないという姿勢を大切にしています。精神病や糖尿病などの合併症がある方や、がん治療後の方、難治性の患者さんも多いため、そのような疾患との治療の連携は非常にスムーズで、何かあったときは他の科も含めてすぐに対応ができます。その点ではすべての人にオープンであると言えますし、患者さんの安心につながっていると思います。
 基本的には病院近くにお住まいの患者さんが多くいらっしゃる地域密着型の病院ですが、特殊外来としてがんの治療前の妊よう性温存治療(卵巣組織・卵子・胚・精子の凍結保存)や早発卵巣不全の患者さんに対する生殖医療が当科の強みでもあるので、そのような患者さんは情報収集をされて全国から訪れますね。疾患などの関係で他のクリニックでは相談できない事情がある場合も、一度我々の生殖医療センターへ相談してみる価値はあるかと思います。

 

聖マリアンナ医科大学病院 生殖医療センターについてはこちら:http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/

 

オンライン相談によって患者の負担を減らしたい。不妊治療領域では、将来的にさらにオンライン相談・診療が活躍!

これまで対面で行っていた不妊治療の相談を、今回オンラインでも実施すると決めたきっかけを教えてください。

 対面診療だとどうしても通院や待ち時間の負担が発生してしまいますので、そこはいつも患者さんに対して申し訳なく感じていました。特に大学病院は重症の方がいればその患者さんの処置により30分や1時間は他の対応が止まってしまうため、どうしても調整がつかず急にお待たせしてしまうケースも出てきてしまいます。そのような点でも、通院と待ち時間の負担を減らせるオンライン相談・診療は個人的に始めたいと思っていました。不妊治療はお話を聞くだけで解決策を提示できる場合もあるため、オンライン診療やオンライン相談との親和性が高い領域だと思います。

 

オンライン相談では、どのような効果を期待していますか

 将来の妊娠や不妊に関して一人で悩んでいる患者さんのサポートができればと思っています。また、産婦人科の受診をためらっている方も多いと聞きますので、まず相談で安心していただいてから、病院の受診率向上につなげていきたいと思います。今はインターネットやSNSなどで様々な情報があふれ、自分にあった情報を正しく選ぶことが難しい時代です。なかには誤った情報も見受けられるため、情報に惑わされる人を減らすためにも、オンライン相談の活用によって患者さんに直接正しい情報を発信していきたいですね。
 30分という限られた枠の中でお話を聞くことになるので、患者さんにも事前に相談したい内容を整理しておいていただければ、とても効率の良い時間になると考えています。決まった時間に開始できて患者さんの待ち時間がないことは、患者さんにとって最大のメリットですね。一方で、例えば子宮筋腫の有無や卵巣の状態などは診察しないとわかりません。そのような点は対面診療とうまく使い分けて解決していきたいと考えています。

まずは気軽にオンライン相談を!
臨床現場でのオンラインツールの活用で、患者の生き方の選択肢も広がる世の中へ。

今後、不妊治療領域でオンライン相談やオンライン診療は広がっていくと思いますか。

 今後は全国的にも広がっていくと考えています。特に治療と仕事を両立されている方は本当に大変だと思いますので、そのような患者さんにはオンライン相談・診療が重宝されると考えています。医師の数の問題もありますが、例えば夜間の診療を開放するなど、オンラインによって可能になることは多いのではないでしょうか。
 不妊治療の開始が早ければ早いほど年齢的な不妊のリスクが軽減し、体外受精を必要としないケースも増えていくと考えます。妊娠だけではなく働き方の面でも、その人らしい人生を歩める選択肢を提供するという面でオンライン相談・診療を活用していただきたいですね。

 

不妊治療や相談を検討されている方へ、メッセージをお願いします。

 まずはぜひ気軽にご相談ください。実際に病院を受診する前に、悩みや不安を整理し解決しておいた方が適切な病院選びにもつながりますし、受診のハードルが下がると思います。そのためのツールとしてオンライン相談をぜひ活用して欲しいですね。不安なことを一人で考え込むとどうしても行き詰ってしまいますし、家族や友人に相談してもなかなか良いアドバイスをもらえなかったり参考にできなかったりすることもあると思いますので、私たち専門医を頼っていただければ嬉しいです。こんなことを相談してもいいのかな、ということでも、気軽にご相談ください。

 

聖マリアンナ医科大学病院でのオンライン相談の詳細・予約はこちら:https://telemedicine.lnln.jp/hospital/c0aa2ab6-03bc-4ae9-ab9a-e2b39acd7fbd

 

 

 

 

 

 

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