従業員のパフォーマンスを向上させる健康経営の鍵とは?

日本商工会議所ニュースに当社の健康経営に関する分析レポートが掲載

 2020年3月日本商工会議所ニュースに、エムティーアイのヘルスケア事業部が行った「8都道府県19社の従業員13,582人の健康調査(2018年6月~2019年8月)」と沖縄県健康長寿課から委託を受けて実施した「沖縄県30社従業員1,803名の健康意識調査(2018年11月~12月)」のデータを基にした分析レポートが掲載されました。
 分析レポートの執筆者である堀口麻奈に、ヘルスケア事業部が本研究を行った背景や、当社が運営するヘルスケアサービスブランド「CARADA」を通じて企業、健診機関、健康保険組合、自治体までもつなぎ人々の健康を多方面からサポートする未来像について聞きました。

 

Profile

堀口麻奈

モバイルサービス営業本部 ヘルスケア営業部 オンライン診療導入サポート部 部長

東京商工会議所認定 健康経営アドバイザー

HCD-Net認定 人間中心設計専門家

 

持続可能な健康経営のためには効果の見える化が重要

―本研究の背景について教えてください

 エムティーアイでは企業の健康経営®と従業員の健康をサポートする法人向けサービス『企業向けCARADAパック』を提供しており、この度、導入いただいた中から8都道府県19社の従業員と、沖縄県健康長寿課から委託を受けて実施した調査の対象となった沖縄県内30社の従業員合わせて15,000人以上を対象とした健康に関する調査を実施し、その結果を基に分析を行いました。
 この分析の元となるデータは『企業向けCARADAパック』を導入いただいた企業の現状分析をするために提供している「パフォーマンス分析レポート」を作成する際に行っている「健康調査アンケート」のデータと、沖縄県健康長寿課から委託を受け実施した「沖縄で働く1,803名の従業員と30社の管理者の大規模な健康調査」です。

 

―「パフォーマンス分析レポート」はどのようなものですか?

 『企業向けCARADAパック』を導入いただいた企業に提供している「パフォーマンス分析レポート」は健康経営をコストではなく、従業員が能力を最大限発揮できるようにするための投資と捉えていただくために提供しています。健康経営を経営戦略の一環として機能させるためには、健康経営に対してどの程度投資すべきか、またその投資対効果を評価するための指標が必要で、それが無いと経営判断が困難です。
 そこで我々は、健康経営の効果を評価する指標の一つとしてプレゼンティズムに着目しました。プレゼンティズムとは、従業員が何らかの理由で心身共に不調を抱え、出勤していてもパフォーマンスが低下してしまっている状態です。我々はプレゼンティズムを「パフォーマンス」と呼んでいます。パフォーマンスに重点を置いて分析していくことで、従業員のどのような生活習慣や不定愁訴がパフォーマンスの低下を招きやすいのか分析するために「健康調査アンケート」を行い、そのアンケートデータの分析結果を「パフォーマンス分析レポート」として企業に提供しています。
 例えば、社内で「目の疲れ」を訴える人が一番多いとしてもそれがパフォーマンスの低下と関係が薄い場合には、目の疲れ対策に力を入れてもパフォーマンスの向上には繋がりません。
 企業が健康経営を通じて従業員の能力を最大限発揮できるようにするためには、まず現状分析を行って従業員のパフォーマンスが下がる要因となる課題を見極めることが重要です。パフォーマンスの低下に繋がる生活習慣や不調を見つけ出し、そこに重点を置いて改善策を取ればより効率的にパフォーマンス向上が見込めます。
 「パフォーマンス分析レポート」で現状の課題・パフォーマンスの低下につながる課題を見つけ、その課題に対して施策を行うことで、“何から手をつければ良いかわからない”“場当たり的に健康グッズを配ったり、イベントを行ってみたりしたものの効果がわからない”という状態に陥らず、従業員のパフォーマンス向上を見込める施策の実行・効果検証が可能となります。

 

従業員のパフォーマンスを下げる職場環境、生活習慣や不調とは?

―分析の結果わかったことを教えてください

 今回、『企業向けCARADAパック』を導入いただいている企業、また沖縄県健康長寿課から委託されアンケートを実施した企業の「健康調査アンケート」のデータを分析することで、パフォーマンスの低下につながる生活習慣や不調に特徴があることがわかり、日本商工会議所ニュースにその分析結果レポートを寄稿しました。
 “沖縄県の人は飲酒量が多い” “車社会の県の人は全然歩かない”などといった生活習慣に関する地域性がありますが、実際に調査データを見てみると、同じ地域であっても企業ごとに従業員の健康経営の取組みに力を入れているか否かで生活習慣に違いが表れていました。また、同じ企業内でも営業職や事務職などの職種の違いによっても大きな違いがあることがわかりました。
 もちろん地域ごとに食生活の違いなどはありますが、生活習慣に関しては地域ごとの差異より、職場ごとの差異が大きいことが明らかになりました。だからこそ、職場を変えれば従業員のパフォーマンスは変えることができるということを結論づけました。
 また、地域や老若男女の違いを問わず、パフォーマンスに影響する特徴的な不定愁訴として挙げられるのはストレスに関連するもので「イライラする」「落ち込む」「だるい」の3つがあります。
 そして、これら3つの不定愁訴を抱える従業員には生活習慣に共通点が見受けられました。「昼食をしっかり食べる時間がない」「おにぎりやパンのみなど、主食のみの食事が多い」「睡眠時間が十分でない」というものです。
 「昼食が主食のみ」となってしまう人の働き方を実際に聞いてみると、例えば販売職や接客業の方は休憩時間に広さの限られたバックヤードで立ったまま昼食を食べなければならないため、食べられるものが主食に偏ったり、休憩中にお客さんが来てしまい、対応しなければならないためお菓子類で済ませてしまうなどの状況が見受けられました。また睡眠時間が短い人は残業時間が長い人も多く、帰宅時間が遅くなることで寝る時間も遅くなってしまう悪循環に陥っていることが見受けられました。
 そのような勤務状況が続くことで、「イライラする」「落ち込む」「だるい」といったストレス性の不定愁訴に繋がり、パフォーマンスが下がってしまう原因ともなります。
 このような従業員のパフォーマンスの低下に繋がる働き方は「休憩時間を十分に取る」「業務量をコントロールし、残業時間を減らす」など働き方の環境を変えることでコントロールができる問題です。これらの不定愁訴と生活習慣は従業員のパフォーマンスだけでなく職場の一体感、仕事への熱意とも関連があります。したがって休憩時間の確保、有給休暇取得の促進、長時間労働の是正は従業員のパフォーマンス、職場の一体感、仕事への熱意向上といった会社の土台作りに置いて非常にコストパフォーマンスの良い施策となります。制度だけを作ってもなかなか活用されないので、企業が力強く推進することで初めて実現され効果につながっていきます。
 健康経営を行おうと思うと、運動会をやろう、社食を用意しようなどと大がかりな施策を新たに取り入れることを考えがちですが、まずは自社の現状分析を行い、働く環境に課題がある場合にはその環境を整えることがパフォーマンスの向上に繋がる健康経営の第一歩です。

 

企業・健診機関・健保・薬局・自治体をつないで人々の健康を支援

―「CARADA」では今後どのように人々の健康増進に取り組みますか?

 当社のヘルスケアサービスブランドである「CARADA」は、自分の健診データや歩数データなどPHR(歩数や睡眠などの個人の健康情報データ。パーソナルヘルスレコード)を共有したい人や機関に本人の判断で共有でき、活用できるプラットフォームになっていくことを目指しています。
 例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、病院に行くことを控えている人がオンライン診療などを受診する際に自身の健康診断結果データを医師に渡すことが可能となれば、その情報は医師にとって有効な情報となり得ます。テレワークなどで運動不足や生活リズムの乱れが気になる場合など、自分のPHRを家族や友人、トレーナーなどと共有することで生活習慣病予防にも役立つかもしれません。
 また、一方で「CARADA」は個人の健康を支える社会(企業、健診機関、健保、薬局、医療機関、自治体)にも、それぞれの目的に役立てるようなサービスを目指しています。
 例えば、企業には「健康経営」、健診機関には「検診の勧奨や健診データを使った新しい提供価値の創出」、健康保険組合には「被扶養者へのアプローチ」、薬局には「かかりつけ薬局の支援」、医療機関には「新しい患者とのつながりによる価値創出」などです。

 今後も「CARADA」は、今回日本商工会議所ニュースに掲載された企業の健康経営支援に留まらず、健診機関、健康保険組合、薬局、医療機関、そして自治体までもつなぐことで人々が心身ともに健康で豊かな生活を実現できるよう取り組んでいきます。

 

日本商工会議所発行 会議所ニュースに掲載の【データから読み解く「持続可能な健康経営」】は下記PDFよりご覧いただけます。

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