コロナ禍に考える。公認心理師が教える不安との付き合い方

   女性の健康情報サービス『ルナルナ』では国立成育医療研究センターと共同で、ルナルナユーザーに「新型コロナウイルス感染症に関する不安」についての調査を実施しました。  今回の調査では、約8割の人が「自分が家族に感染させること」、7割以上の人が「外出時に自分が感染すること」、「新型コロナウイルスがいつ収束するかわからないこと」、また4割の人は「収入が減る・なくなること」と回答しており、感染リスクだけでなく様々な不安を感じていることがわかります。 この結果を受けて、不安な気持ちと上手につきあう方法について国立成育医療研究センターの公認心理師である三瓶舞紀子先生からのアドバイスを紹介します。     ■今回アドバイスをくれる先生 国立成育医療研究センター...

 

 女性の健康情報サービス『ルナルナ』では国立成育医療研究センターと共同で、ルナルナユーザーに「新型コロナウイルス感染症に関する不安」についての調査を実施しました。
 今回の調査では、約8割の人が「自分が家族に感染させること」、7割以上の人が「外出時に自分が感染すること」、「新型コロナウイルスがいつ収束するかわからないこと」、また4割の人は「収入が減る・なくなること」と回答しており、感染リスクだけでなく様々な不安を感じていることがわかります。

この結果を受けて、不安な気持ちと上手につきあう方法について国立成育医療研究センターの公認心理師である三瓶舞紀子先生からのアドバイスを紹介します。

 

 

■今回アドバイスをくれる先生

国立成育医療研究センター 社会学研究部

公認心理師 REBT (Rational Emotive Behavior Therapy) 心理士 三瓶舞紀子 先生

「不安」は適切な行動をとるための大事なバロメーター

 調査結果より、私たちはさまざまな不安を感じていることがわかりました。
 「知らない間に家族に感染させてしまったら」という感染の不安、「この先、生活レベルを維持していけるのだろうか」という経済的不安、「将来の見通しを立てられない」という不確実性への不安などを、多くの方が感じているようです。また、不安な状態が続くと気分が落ち込んで集中しづらく、やる気がでにくくなることもあるかもしれません。
 一方で、あなたのその不安は、なくしたほうがいい感情かというとそうではありません。不安によって危険を回避しようとしたり、不安があるときにあなたの活動を制限したりするのは、日常とは異なる状況の中で、人間のこころに備わった、自分自身を防御するための反応ともいえます。
 皆さんの「不安」は、生命や生活の維持のために必要な行動をとらせてくれる大切な感情なのです。

「不安」が適切な行動の妨げになるとき

 皆さんが感じる不安に呼応して感染防止や生活維持の可能性を高める行動、今あなたができる最善の行動をとることができているのであれば、皆さんの「不安」は適切に働いているといえます。
 しかしながら、「不安」があなたの考える最善の行動を妨げてしまうことがあります。
 例えば、「仕事を失ったらどうしよう」と強く不安に思うあまり、かえって仕事に集中できずにミスを繰り返してしまうとしたら、どうでしょうか。また、「不安」を感じることが不快だからと、不安を感じるような情報を徹底的に避け、適切な情報が得られていないために感染防止対策をとれず感染してしまったとしたらどうでしょうか。いずれも本末転倒ですね。
 前者は、「すぐにでも自分は解雇されてそのあと仕事が見つからずに家賃も払えなくなって住むところも失い、食べるにもことかくようになったら」など極端に悲観的な推測をしており、後者は「世間が騒ぎすぎているだけで簡単に感染しないし感染しても自分は大丈夫」など極端に楽観的な推測をしている、と考えられます。自分は望ましい行動がとれなくなっているなと感じている時、たいていは上記のように一つの考え方にとらわれていることが多いのです。

「不安」が弱すぎたり強すぎたりするときは、考え方を変えてみる

 このような時は、「最高」、「最悪」、「もっともありそう」の未来を想像して、それらを書き出すことによって、一つの考えにとらわれないようにしてみましょう。
 例えば、契約更新を前にしたある派遣社員の方が「2か月後の更新ができなかったらどうしよう」という不安を感じたとします。
 「最悪どうなりそう?」「最高でどうなりそう?」「もっともありそうな状況は?」と3つの問いの答えを考えてみます。

最高
何ごともなく契約更新。そのあとも安泰でいられる。

もっともありそう 
契約を打ち切られる可能性は50%。もし打ち切られても、やや条件の悪いところであれば契約はでき、当面の生活費はなんとか稼ぐことができる。

最悪
契約打ち切られる。その後も仕事が見つからず、貯金もなくなり、家賃が払えずに住む場所も失い、食べるものにも困るようになる。

考え方を変えると気持ちが変わる

 「最高」の考え方にとらわれてしまうと契約更新のための努力ができなくなってしまうかもしれません。
 「最悪」の考え方にとらわれてしまうと強い不安で仕事に集中できなくなり、かえって契約更新のチャンスを逃してしまうかもしれません。
 「もっともありそう」の考え方なら、契約更新のための努力をしたり、もし契約打ち切りになった場合に備えた情報収集や資格取得の勉強をしようと思えたりするかもしれません。
 強い感情があなたの適切な行動の妨げになっている時は、考え方を変えると強すぎる感情が和らぎ、そうすることでより適切な行動をとりやすくなります。不安が強すぎたり、現実から目をそらしてしまっていると感じた時には、ぜひ試してみてください。

 

調査実施期間:2020年5月14日〜6月14日/7585人回答

調査対象:『ルナルナ』と国立成育医療研究センターが実施している、ユーザー参加型研究に参加中の女性

 

★こちらのコラムは、女性の健康情報サービス『ルナルナ』内でもユーザー向けに公開しています。

 全文はこちら:https://pc.lnln.jp/article/mtihp-0003935-html

 

 

『ルナルナ』からのお知らせ

『ルナルナ』と国立成育医療研究センターは、アプリを用いた女性のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖の健康)とこころの健康及び社会的リスク要因に関する共同研究を行っています。
近年、働く女性は増加し勤務形態の多様化が進んできましたが、女性がおかれた社会経済的状況がこころやからだの健康に与える影響については、まだあまり多くは知られていません。このため、本研究では女性のおかれた社会経済的状況が、こころの健康を通して、月経不順や妊娠にどのような影響を与えるかを調べ、女性が活躍し子どもを産みやすい社会を作っていくために何が必要なのかを考えます。

研究の詳細はこちら(現在は第二弾「ユーザー参加型研究」を実施中です):https://www.mti.co.jp/?p=24863

本研究に参加中の方は、アンケート実施期間中『ルナルナ』アプリ内の「お知らせ」にて、ルナルナラボのアンケートをご確認いただけます。