大阪・関西万博会場周辺のゲリラ豪雨予報

概要  理化学研究所(理研)計算科学研究センターデータ同化研究チームの三好建正チームプリンシパル、大塚成徳上級研究員、ジェームズ・テイラー研究員、情報通信研究機構(NICT)電磁波研究所電磁波伝搬研究センターリモートセンシング研究室の佐藤晋介総括研究員、防災科学技術研究所(防災科研)極端気象災害研究領域水・土砂防災研究部門の前坂剛上席研究員、大阪大学大学院工学研究科の牛尾知雄教授、株式会社Preferred...

概要

 理化学研究所(理研)計算科学研究センターデータ同化研究チームの三好建正チームプリンシパル、大塚成徳上級研究員、ジェームズ・テイラー研究員、情報通信研究機構(NICT)電磁波研究所電磁波伝搬研究センターリモートセンシング研究室の佐藤晋介総括研究員、防災科学技術研究所(防災科研)極端気象災害研究領域水・土砂防災研究部門の前坂剛上席研究員、大阪大学大学院工学研究科の牛尾知雄教授、株式会社Preferred Networks(PFN)AIプロダクツ&ソリューションズ本部の前田新一シニアリサーチャー、株式会社エムティーアイ(エムティーアイ)ライフ・エンターテインメント事業本部ライフ事業部の小川晋事業部長、気象ビジネス部の佐藤有貴、テクノロジー本部アカウントシステムエンジニア部の芦川謙吾らの共同研究グループは、スーパーコンピュータ「富岳」[1]と2台の次世代気象レーダ「マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)[2]」を用いた、超高速高性能リアルタイム降水予報の世界で初めての実証実験[3]を行います。
 三好チームプリンシパルらは、30秒ごとに豪雨の高速3次元観測が可能なMP-PAWRとスーパーコンピュータを組み合わせ、30分先までのゲリラ豪雨を予測する超高速高性能リアルタイム降水予報を開発しています。2021年の東京オリンピック・パラリンピックの期間中には、首都圏を対象にMP-PAWRと「富岳」を組み合わせた実証実験を行いました。
 今回の実証実験では、関西圏に設置された2台のMP-PAWRを用い、東京オリンピック・パラリンピック時の実証実験の2倍にもなる大容量のレーダ観測データをリアルタイムに「富岳」に取り込むことで、大阪・関西万博会場と周辺地域のゲリラ豪雨を30秒ごとに30分先まで予測し、8月5日から8月31日までの期間、大阪・関西万博来場者や博覧会協会、周辺地域の皆様向けに予測情報を提供します。これは「富岳」を用いてレーダ観測データと気象モデルを高度に融合させることでゲリラ豪雨のデジタルツインを発展させ、超スマート社会Society 5.0[4]の実現に貢献できるものと期待できます。
 本取り組みは、「2025年大阪・関西万博アクションプラン」[5]の一つである「リモートセンシング技術による高精度データの解析及びリアルタイム配信の実証」(総務省)に基づいています。

今回の実証実験で配信される降水予報のイメージ

 

背景

 近年、短時間での大雨の発生回数は増加の傾向があり、強度の強い雨ほど増加率が顕著です1。このような短時間に局地的・突発的に降るゲリラ豪雨による被害を減らすためには、豪雨の兆候を早期に検知して豪雨の規模や位置を詳細に予測し、安全に係る情報を適時適切に提供することが重要です。
 三好チームプリンシパルらは2016年に「解像度100mで30秒ごとに更新する30分後までの天気予報」という、空間的にも時間的にも桁違いに高分解能な「ゲリラ豪雨予測手法」を開発しました2。その手法に基づいて、2020年8月25日から9月5日まで、さいたま市に設置されているMP-PAWRによる30秒ごとの雨雲の詳細な観測データと、スーパーコンピュータ「Oakforest-PACS」を用いて、首都圏において30秒ごとに更新する30分後までの降水予報をリアルタイムで行う実証実験を実施しました3
 さらに2021年には、7月から9月にかけて開催された東京オリンピック・パラリンピックの期間中、MP-PAWRの観測データと当時運用開始したばかりの「富岳」を使用し、リアルタイム降水予報の実証実験を実施しました4。この研究成果は、米国計算機学会のゴードン・ベル賞気候モデリング部門の最終候補(ファイナリスト)に選出されました5
 2025年4月から開催されている大阪・関西万博において、来場者などへの高精度気象予測情報を提供するため、NICT、大阪大学、防災科研、PFN、理研、エムティーアイは、6者連携を開始しました6

注1)気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」より
  https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
注2)2016年8月9日プレスリリース「『京』と最新鋭気象レーダを生かしたゲリラ豪雨予測」
  https://www.riken.jp/press/2016/20160809_1/
注3)2020年8月21日お知らせ「30秒ごとに更新するゲリラ豪雨予報」
  https://www.riken.jp/pr/news/2020/20200821_1/
注4)2021年7月13日お知らせ「『富岳』を使ったゲリラ豪雨予報-首都圏で30秒ごとに更新するリアルタイム実証実験
  を開始- 
https://www.riken.jp/pr/news/2021/20210713_1/
注5)2023年11月9日お知らせ「『富岳』を用いた30秒ごとに更新するリアルタイム数値天気予報の研究成果が2023年ゴ
  ードン・ベル賞気候モデリング部門ファイナリストに選出」
  https://www.riken.jp/pr/news/2023/20231109_3/index.html
注6)2025年3月26日ニュースリリース「NICT、大阪大学、防災科研、PFN、理研、エムティーアイが2025年大阪・関
  西万博における高精度気象予測情報の提供に向け連携を開始」 
https://www.mti.co.jp/?p=35535

 

研究手法と成果

 今回は、神戸市のNICT未来ICT研究所と、大阪府吹田市の大阪大学吹田キャンパスに設置された2台のMP-PAWRによる観測データと「富岳」を用いて、リアルタイム降水予報の実証実験を行います。MP-PAWRの観測データは、防災科研が開発した高精度な3次元雨量推定技術を適用し、PFNが開発したデータ圧縮・配信プラットフォーム「きゅむろん」[6]を通じて、圧縮された状態で理研に配信されます。理研では、「富岳」を用いて、世界で初めて2台のMP-PAWRの観測データを使った降水予報計算を実行し、リアルタイムで豪雨予測を行います。2台のMP-PAWRで異なる方向から雨雲観測を行うことで降雨による電波の減衰の影響を改善するほか、雨粒の移動速度を2方向から計測することにより、予測精度の向上が期待できます。
 本研究では、領域気象モデルSCALEとデータ同化手法「局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)」を組み合わせた領域数値天気予報システムSCALE-LETKFによって、ゲリラ豪雨の予測を行います。共同研究グループでは、「富岳」を用いた精細な気象予測計算と2台のMP-PAWRによる精細な観測データを組み合わせたSCALE-LETKFによる「ビッグデータ同化」システムを開発してきました。
 2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の実験では、さいたま市の1台のMP-PAWRのみを用いて実験を行いました。今回は神戸市と吹田市の2台のMP-PAWRを用いるため、計算領域を広く関西地域に設定しました(図1)。2021年の実験と同じく、計算領域は広範囲の予測計算を行う1.5km格子の外側領域と、MP-PAWRのデータを取り込んで詳細に予測計算する500m格子の内側領域から構成されます。
 2台のMP-PAWRを使用することで、主に二つの利点が期待できます。まず、1台の場合には降雨による電波の減衰や、山や建物による電波の遮蔽(しゃへい)などにより、雨が正確に観測できない領域が生じますが、2台同時に用いることにより観測が欠けている部分を補完し合い、より正確に降水分布を捉えることができます。またMP-PAWRの観測によって、雨粒がMP-PAWRに向かってきているか遠ざかっているかという「ドップラー速度」を計測できますが、2台のMP-PAWRで測定したドップラー速度を組み合わせることで、風速の2成分を得ることができます。これにより降水域周辺の風の流れをより正確に把握し、この先の雨雲の変化をより高精度に予測できることが期待できます。

図1 計算領域の設定

神戸市と大阪府吹田市に設置されている2台のMP-PAWR(黒丸)が観測する範囲(半径80kmの陰影部)を覆うように、広範囲の予測計算を行う1.5km格子の外側領域と、MP-PAWRのデータを取り込んで詳細に予測計算する500m格子の内側領域(中心に赤丸)を設定する。

 

 実証実験で得る予報データは、気象業務法に基づく予報業務許可の下、理研の天気予報研究のウェブページ(https://weather.riken.jp/)およびエムティーアイのスマートフォンアプリ「3D雨雲ウォッチ」で8月5日から8月31日まで公開します。

 【「富岳」を使用した豪雨予測】
 ●通知内容
 30mm/hを超える豪雨の可能性を通知
 ●通知時間
 最大30分前に豪雨の可能性を通知
 ●通知エリア
 吹田MP-PAWR観測範囲:吹田市を中心とした半径80km領域
 神戸MP-PAWR観測範囲:神戸市を中心とした半径80km領域

 なお、この予報は先端研究として試験的に行うものであり、実用に供する気象予報に十分な精度や安定した配信環境が保証されたものではありません。

 

今後の期待

 今回、初めて2台のMP-PAWRと「富岳」を使い、ゲリラ豪雨予報のリアルタイム実証実験を行います。2台のMP-PAWRを使うことにより予測精度の向上が期待されますが、一方で、2台の観測データの組み合わせ方など、新たな研究上の課題が出てきています。今後、今回の実証実験の結果に基づき、さらに研究を進め、複数台のMP-PAWRを使った「ゲリラ豪雨予測手法」の精度向上、実用化が期待されます。
 また今回、東京オリンピック・パラリンピック時の実証実験の2倍にもなる大容量のリアルタイムデータを「富岳」に取り込んで、ゲリラ豪雨の予測精度向上に向けた研究を進めます。その研究の蓄積を、気象予測を超えて他のシミュレーション研究にも展開することで、「富岳」を活用した超スマート社会Society 5.0の実現に向けた研究の推進に貢献することが期待されます。

 

補足説明

[1] スーパーコンピュータ「富岳」
スーパーコンピュータ「京」の後継機。2020年代に、社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAIの加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータとして2021年3月に共用が開始された。現在「富岳」は日本が目指すSociety 5.0を実現するために不可欠なHPCインフラとして活用されている。

[2] マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)
NICTの委託研究「次世代ドップラーレーダ技術の研究開発」で2012年に開発された単偏波のフェーズドアレイ気象レーダに、総務省の電波資源拡大のための研究開発の実施「周波数の有効利用を可能とする協調制御型レーダーシステムの研究開発」による研究・素子開発の成果を利用し、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム「レジリエントな防災・減災機能の強化」の施策として、NICTをはじめとする研究グループが世界で初めて開発し、埼玉大学に設置した注)。その後同等機がNICTにより吹田・神戸に設置された。MPレーダの偏波観測による高い観測精度とフェーズドアレイ気象レーダの高速(およそ30秒)な3次元観測性能を併せ持ち、長期にわたる降雨の連続観測も可能である。MP-PAWRはMulti-Parameter Phased Array Weather Radarの略。
注)2017年11月29日プレスリリース「世界初の実用型『マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)』を開発・設置」 https://www.nict.go.jp/press/2017/11/29-1.html

[3] 世界で初めての実証実験
2台のMP-PAWRの観測を30秒ごとに使ったリアルタイム数値天気予報としては世界で初めての実施となる。(2025年7月時点。理研調べ)

[4] 超スマート社会Society 5.0
 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。

[5] 2025年大阪・関西万博アクションプラン 
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/expo_suisin_honbu/pdf/apver7_kohyou.pdf
※「リモートセンシング技術による高精度データの解析及びリアルタイム配信の実証」はp.73

[6] 「きゅむろん」
MP-PAWRが取得する観測データを圧縮・配信するプラットフォーム。
きゅむろん:https://cumulon.jp/

 

共同研究グループ

理化学研究所 計算科学研究センター
 データ同化研究チーム
  チームプリンシパル      三好建正 (ミヨシ・タケマサ)
  上級研究員          大塚成徳 (オオツカ・シゲノリ)
  研究員            ジェームズ・テイラー(James Taylor)
  研究員            雨宮 新 (アメミヤ・アラタ)
  特別研究員          垂水勇太 (タルミ・ユウタ)
 複合系気候科学研究チーム
  チームプリンシパル      富田浩文 (トミタ・ヒロフミ)
  上級研究員          西澤誠也 (ニシザワ・セイヤ)
 運用技術部門
  副部門長           井口裕次 (イグチ・ユウジ)
 先端運用技術ユニット 
  ユニットリーダー       山本啓二 (ヤマモト・ケイジ)
 データ連携技術ユニット
  ユニットリーダー       甲斐俊彦 (カイ・トシヒコ)
 ソフトウェア開発技術ユニット
  上級技師           中村宜文 (ナカムラ・ヨシフミ)
 システム運転技術ユニット
  技師             岡本光央 (オカモト・ミツオ)

富士通株式会社
 ミッションクリティカルシステム事業本部
  テクニカルコンピューティング事業部
                 宮崎亮二 (ミヤザキ・リョウジ)
                 寅澤雄介 (トラサワ・ユウスケ)

情報通信研究機構
 電磁波研究所 電磁波伝搬研究センター リモートセンシング研究室
  室長             川村誠治 (カワムラ・セイジ)
  総括研究員          佐藤晋介 (サトウ・シンスケ)
  研究マネージャー       花土 弘 (ハナド・ヒロシ)
  研究員            河谷能幸 (カワタニ・ヨシユキ)

防災科学技術研究所
 極端気象災害研究領域 水・土砂防災研究部門
  研究部門長          飯塚 聡 (イイヅカ・サトシ)
  上席研究員          前坂 剛 (マエサカ・タケシ)
  技術員            宮島亜希子(ミヤジマ・アキコ)

大阪大学
 大学院工学研究科 牛尾研究室
  教授             牛尾知雄 (ウシオ・トモオ)
  講師             和田有希 (ワダ・ユウキ)

株式会社Preferred Networks
 AIプロダクツ&ソリューションズ本部
  シニアリサーチャー      前田新一 (マエダ・シンイチ)
  エンジニアリングマネージャー 福田圭祐 (フクダ・ケイスケ)
  エンジニア          田村淳太郎(タムラ・ジュンタロウ)
  エンジニア          工藤康統 (クドウ・ヤスノリ)
  エンジニア          本木大資 (モトキ・ダイスケ)

株式会社エムティーアイ
 ライフ・エンターテインメント事業本部 ライフ事業部
  事業部長           小川 晋 (オガワ・ススム)
 ライフ・エンターテインメント事業本部 気象ビジネス部
                 佐藤有貴 (サトウ・ユキ)
 テクノロジー本部 アカウントシステムエンジニア部
                 芦川謙吾 (アシカワ・ケンゴ)
 テクノロジー本部
                 潮見 渚 (シオミ・ナギサ)

 

研究支援

 本研究は、スーパーコンピュータ「富岳」政策対応利用課題「『富岳』を活用したリモートセンシング技術による高精度データの分析技術及びリアルタイム配信の実証(研究代表者:大野誠司、課題番号:hp240374、hp250237)」、HPCIシステム利用研究課題「マルチスケール極端気象予測を目指した『ビッグデータ同化』とAIの融合研究(研究課題代表者:三好建正、課題番号:hp240061)」「マルチスケール極端気象予測を目指した『ビッグデータ同化』の研究(研究課題代表者:三好建正、課題番号:hp230094)」を通じて、理化学研究所が提供するスーパーコンピュータ「富岳」の計算資源の提供を受け、実施しています。
 また、データ配信プラットフォーム「きゅむろん」は、総務省ICT重点技術の研究開発プロジェクト(JPMI00316)「リモートセンシング技術のユーザー最適型データ提供に関する要素技術の研究開発」(R4~R6年度)の支援を受け開発されました。

 

発表者・機関窓口

<発表者> ※研究内容については発表者にお問い合わせください。

理化学研究所 計算科学研究センター データ同化研究チーム
  チームプリンシパル 三好建正 (ミヨシ・タケマサ)
  上級研究員     大塚成徳 (オオツカ・シゲノリ)
  研究員       ジェームズ・テイラー(James Taylor)
Email: r-ccs-koho@ml.riken.jp(計算科学研究推進室広報グループ)

三好建正

 

情報通信研究機構
 電磁波研究所 電磁波伝搬研究センター リモートセンシング研究室
  総括研究員     佐藤晋介 (サトウ・シンスケ)

防災科学技術研究所 極端気象災害研究領域 水・土砂防災研究部門
  上席研究員     前坂 剛 (マエサカ・タケシ)

大阪大学 大学院工学研究科
  教授        牛尾知雄 (ウシオ・トモオ)

株式会社Preferred Networks AIプロダクツ&ソリューションズ本部
  シニアリサーチャー 前田新一 (マエダ・シンイチ)

株式会社エムティーアイ
 ライフ・エンターテインメント事業本部 ライフ事業部
  事業部長      小川 晋 (オガワ・ススム)
 ライフ・エンターテインメント事業本部 気象ビジネス部
            佐藤有貴 (サトウ・ユキ)
 テクノロジー本部 アカウントシステムエンジニア部
            芦川謙吾 (アシカワ・ケンゴ)

 

<機関窓口>

理化学研究所 広報部 報道担当
Tel: 050-3495-0247
Email: ex-press@ml.riken.jp

情報通信研究機構 広報部 報道室
Email: publicity@nict.go.jp

防災科学技術研究所 企画部広報課 報道担当
Web: https://www17.webcas.net/form/pub/bosai/press
Tel: 029-863-7798
Email: press@bosai.go.jp

大阪大学 工学研究科総務課 評価・広報係
Tel: 06-6879-7231 Fax: 06-6879-7210
Email: kou-soumu-hyoukakouhou@office.osaka-u.ac.jp

株式会社Preferred Networks 広報担当:坂口・秋山
Web: https://www.preferred.jp/ja/contact/

株式会社エムティーアイ 広報部
Tel: 03-5333-6755
Email: mtipr@mti.co.jp

 

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NICT、大阪大学、防災科研、PFN、理研、エムティーアイが2025年大阪・関西万博における高精度気象予測情報の提供に向け連携を開始

 国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長:徳田 英幸、以下「NICT」)、国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎、以下「大阪大学」)大学院工学研究科、国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶...

 国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長:徳田 英幸、以下「NICT」)、国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎、以下「大阪大学」)大学院工学研究科、国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨、以下「防災科研」)、株式会社Preferred Networks(代表取締役最高経営責任者:西川 徹、以下「PFN」)、国立研究開発法人理化学研究所(理事長:五神 真、以下「理研」)、株式会社エムティーアイ(代表取締役社長:前多 俊宏、以下「エムティーアイ」)は1、2025年4月から開催される大阪・関西万博において、来場者等への高精度気象予測情報の提供に向けて、6者連携を開始します。
 豪雨の卵を早期に検知することが可能な次世代気象レーダ「マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(以下「MP-PAWR」)2」と、豪雨の規模や位置を正確に予測するスーパーコンピュータ「富岳」3を用いた高精度気象予測を組み合わせ、気象予測情報の精度の向上を図るとともに、ゲリラ豪雨による危険回避を目指した実証を行います。「富岳」を使用した豪雨予測は万博開催期間中の約1カ月間のみ実施されます。
 本取り組みは、「2025年大阪・関西万博アクションプラン4」の一つである「リモートセンシング技術による高精度データの解析及び​リアルタイム配信の実証(総務省)」に基づいています。

 

■取り組みの背景
 近年、短時間での大雨の年間発生回数は統計的に有意に増加しており、強度の強い雨ほど増加率が顕著です5。このような短時間に局地的・突発的に降るゲリラ豪雨による被害を減らすためには、豪雨の卵を早期に検知して豪雨の規模や位置を正確に予測することで、安全に係る情報を適時適切に生活者に提供することが求められています。この課題に取り組むため、雨雲を最短30秒間隔で高精度に三次元立体観測ができる次世代気象レーダMP-PAWRが開発されました。
 MP-PAWRは、上空まで密に雨雲を観測できるため、上空の豪雨の卵を検知することが可能です。一方で、MP-PAWRに限らず気象レーダの近くで強い雨が降っている場合、レーダの電波が雨粒で減衰する「降雨減衰」により、後方の雨が正しく観測ができない場合があります。また、MP-PAWRは高精度な三次元観測により膨大な観測データを生み出すため、研究機関等へのデータの配信に課題がありました。
 2023年から関西で2台のMP-PAWRが稼働を開始したことで、異なる方向からの雨雲観測により「降雨減衰」の解消が可能になりました。さらに、捉えた高精度な三次元観測データを圧縮・配信するプラットフォーム「きゅむろん6」が開発されたことで、研究機関や気象情報を扱う事業者に迅速にデータを配信し、いち早く生活者へゲリラ豪雨の危険性を通知することが可能になりました。

 

■大阪・関西万博での実証概要
<実証内容>
 2025年4月から開催される大阪・関西万博では、2台のMP-PAWRを活用し、万博会場を含む関西の特定エリアの積乱雲等を同時観測します。観測には、兵庫県神戸市のNICT未来ICT研究所と、大阪府吹田市の大阪大学吹田キャンパスに設置されたMP-PAWRを使用します。観測されたデータは、防災科研が開発した高精度な三次元雨量推定技術を適用し、PFNが開発したデータ圧縮・配信プラットフォーム「きゅむろん」を通じて、圧縮された状態で理研及びエムティーアイに配信されます。
 この観測データを基に、エムティーアイが運営するゲリラ豪雨検知アプリ「3D雨雲ウォッチ」にて雨雲の3D表示と、豪雨予測のPush通知を行います。 Push通知には、NICTが開発したMP-PAWRの観測データから学習させた独自のAI豪雨予測(AIナウキャスト)も含まれます。
 また、理研は、大阪・関西万博開催中の一部期間において、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた気象予報モデルに世界で初めて72台のMP-PAWRの観測データを同化し、リアルタイムで豪雨予測を行います。「富岳」で予測される雨雲の様子は、「3D雨雲ウォッチ」と理研のホームページで配信され、「3D雨雲ウォッチ」では最大30分先の豪雨予測をPush通知でお知らせします。

 

<「3D雨雲ウォッチ」によるPush通知内容>

アプリ「3D雨雲ウォッチ』で確認できる雨雲イメージ
※画像は関東に設置されたMP-PAWRで雨雲を観測した様子

【2台のMP-PAWRの同時観測による豪雨予測】
●通知内容
30mm/hを超える豪雨の可能性を通知
●通知時間
最大15分~20分前に豪雨の可能性を通知
●通知エリア
吹田MP-PAWR観測範囲:大阪府吹田市を中心とした半径80km領域
神戸MP-PAWR観測範囲:兵庫県神戸市を中心とした半径80km領域

【「NICT AIナウキャスト」を使用した豪雨予測】
●通知内容
30mm/hを超える豪雨の可能性を通知
●通知時間
最大5分~10分前に豪雨の可能性を通知
●通知エリア
吹田MP-PAWR及び神戸MP-PAWRの観測範囲内

【「富岳」を使用した豪雨予測】
●通知内容
30mm/hを超える豪雨の可能性を通知
●通知時間
最大30分前に豪雨の可能性を通知
●通知エリア
吹田MP-PAWR観測範囲:大阪府吹田市を中心とした半径80km領域
神戸MP-PAWR観測範囲:兵庫県神戸市を中心とした半径80km領域

 

<実証期間>
大阪・関西万博の全期間中2025年4月13日(日)~10月13日(月)
※「富岳」を使用した豪雨予測は2025年8月5日(火)~8月31日(日)の27日間(予定)

 

 

■各機関の役割
NICT
・MP-PAWRの運用
・MP-PAWRデータを機械学習させたAI予測情報の提供

大阪大学大学院工学研究科
・MP-PAWRの運用

防災科研
・MP-PAWRデータを用いた三次元雨量推定技術の提供

PFN
・「きゅむろん」によるMP-PAWRデータの圧縮復元を用いた転送

理研
・スーパーコンピュータ「富岳」によるデータ同化と、30分後の気象予測
・ホームページを通して、博覧会協会や来場者等に予測結果を提供

エムティーアイ
・ゲリラ豪雨検知アプリ「3D雨雲ウォッチ」上で、MP-PAWR2台の観測データ・「富岳」の予測データを3D描画、豪雨の危険性をPush通知
・アプリを通して、博覧会協会や来場者等に予測結果を提供

 

※1 本リリースにおける各機関の並び順は、順不同。
※2 「マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)」:フェーズドアレイ気象レーダにマルチパラメータ(二重偏波)機能を追加することにより、高速三次元観測性能を保ちつつ、雨量の計測精度を格段に向上させたレーダ。https://www.nict.go.jp/press/2017/11/29-1.html
※3 スーパーコンピュータ「富岳」:社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界トップレベルの成果を生み出すことを目的に開発された。 https://www.r-ccs.riken.jp/fugaku/about/
※4 「2025 年大阪・関西万博アクションプラン」の詳細:P.73
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/expo_suisin_honbu/pdf/apver7_kohyou.pdf
※5 気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」より
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
※6 「きゅむろん」:MP-PAWRが取得する観測データを圧縮・配信するプラットフォーム。 https://cumulon.jp/
※7 2025年3月時点 理化学研究所調べ

 

■研究支援
 本研究は、スーパーコンピュータ「富岳」政策対応利用課題「『富岳』を活用したリモートセンシング技術による高精度データの分析技術及びリアルタイム配信の実証」(研究代表者:井出真司、課題番号:hp240374)、HPCI システム利用研究課題「マルチスケール極端気象予測を目指した「ビッグデータ同化」とAIの融合研究」(研究課題代表者:三好建正、課題番号:hp240061)、「マルチスケール極端気象予測を目指した「ビッグデータ同化」の研究」(研究課題代表者:三好建正、課題番号:hp230094)を通じて、理化学研究所が提供するスーパーコンピュータ「富岳」の計算資源の提供を受け、実施しています。データ配信プラットフォーム「きゅむろん」は、総務省ICT重点技術の研究開発プロジェクト(JPMI00316)「リモートセンシング技術のユーザー最適型データ提供に関する要素技術の研究開発」(R4~R6年度)の支援を受け開発されました。

 

【お問い合わせ先】

国立研究開発法人情報通信研究機構 広報部 報道室 (メール publicity@nict.go.jp)
国立大学法人大阪大学 工学研究科総務課 評価・広報係
(電話 06-6879-7231/FAX 06-6879-7210/メール kou-soumu-hyoukakouhou@office.osaka-u.ac.jp)
国立研究開発法人防災科学技術研究所 企画部広報課 担当:若月・入沢
(電話 029-863-7798/メール press@bosai.go.jp)
株式会社Preferred Networks 広報担当:坂口・秋山 (Web https://www.preferred.jp/ja/contact/)
国立研究開発法人理化学研究所 広報室 報道担当 (電話 050-3495-0247/メール ex-press@ml.riken.jp)
株式会社エムティーアイ 広報部 (電話 03-5333-6755/メール mtipr@mti.co.jp)

 

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気象災害に関わる課題解決を目指し降雹アラートサービスを2024年6月より無償提供開始

 MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(代表取締役社長:新納 啓介、以下 あいおいニッセイ同和損保)と株式会社エムティーアイ(代表取締役社長:前多俊宏、以下...

 MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(代表取締役社長:新納 啓介、以下 あいおいニッセイ同和損保)と株式会社エムティーアイ(代表取締役社長:前多俊宏、以下 エムティーアイ)は、気象災害に関わる課題解決に向けて、2024年6月より降雹アラートサービスの無償提供を行うことをお知らせします。

 

1.開発の経緯

 近年、気候変動の影響等により、降雹による災害は増加傾向・社会課題化しており、被害軽減に向けた対策が急務となっています。一方、降雹被害の軽減には降雹を予測し、事前避難や被害回避策を講じる必要がありますが、降雹をもたらす積乱雲は短時間で発達することが多く、精緻な予測が困難でした。
 そこで、あいおいニッセイ同和損保とエムティーアイは、降雹の事前検知に関する共同研究を2022年より開始し、2023年には、共同開発した降雹予測ロジックをもとにした実証実験※1により、精微な降雹予測を可能とする降雹予測アルゴリズムを構築しました。
 これらの共同研究・実証実験の結果を踏まえ、あいおいニッセイ同和損保とエムティーアイは、降雹アラートサービス(以下、本サービス)の無償提供を通じて、ともに社会課題解決に取り組んでいきます。

 ※1 2023年6月28日から9月28日の期間に東京や北関東を中心に実証実験を実施
   エムティーアイ、あいおいニッセイ同和損保と気象災害に関わる課題解決に向けて業務提携

 

2.本サービスの概要

 本サービスは、あいおいニッセイ同和損保が無償で提供しているcmapアプリ※2上でご利用いただけます。以下の機能を通じ利用者へ降雹を事前にお報せすることで、事前避難につなげていただきます。

 ※2 台風や豪雨などの自然災害発生時における被災建物棟数を市区町村ごとに予測し、リアルタイムで地図上に表示
   するアプリ

 

<機能>

①アラートサービス
降雹・ゲリラ豪雨が予想される地域において、当該地域を地点登録している利用者を対象に、最大30分前にアラートをプッシュ通知します。

②災害地域の可視化
降雹・ゲリラ豪雨の発生が予測されるエリアをcmapアプリの地図上で可視化します。

 

<画面イメージ>

① アラートサービス               ② 災害地域の可視化

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.今後の展開

 両社は、cmapアプリに搭載されている「地域のリスク」へ投稿された情報3を活用し、災害の発生状況を分析することで、予測精度の更なる向上を図ります。
 また、あいおいニッセイ同和損保は、エムティーアイが培った気象事業に関する知見・ノウハウを活用し、お客さまの安全・安心や、資産保全に資する取り組みを展開することで、「CSV×DX(シーエスブイバイディーエックス)」を推進していきます。

 

<今後の取り組み>

1.

「あいおいニッセイ同和損保アプリ」※4との連携により、保険契約者向けの被害軽減等の新たな保険・サービスを開発・提供

2. 建設業や農業事業者・レジャー施設等の天候の影響を受けやすい事業者に向けた被害軽減・BCPを目的としたソリューションサービスの開発・提供
3. 自動車販売・修理事業者などの被害軽減に向けた管理車両の最適な退避策の検討

※3 ユーザーが地域で発生した各種リスク情報をSNSにログインすることなく、cmapアプリに直接投稿できる機能
※4 あいおいニッセイ同和損保が2024年1月よりサービス開始した、お客さま・代理店間との双方向のつながりの向上
  を目指した新アプリ

  「あいおいニッセイ同和損保アプリ」の提供開始

 

<本件のお問い合わせ先>

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 広報部
TEL:050-3461-7235

株式会社エムティーアイ 広報部
E-mail: mtipr@mti.co.jp
TEL:03-5333-6755

 

<参考:会社概要>

■あいおいニッセイ同和損保

社名

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

代表者名

代表取締役社長 新納 啓介

本社所在地

東京都渋谷区恵比寿1−28−1

HP

https://www.aioinissaydowa.co.jp/

事業内容

あいおいニッセイ同和損保は、「CSV×DXを通じて、お客さま・地域・社会の未来を支えつづける」ことを目指しています。最先端・独自の技術やデジタル・データの活用、特色あるパートナーとの協業により、お客さま・地域・社会が真に求める新たな価値を提供していきます。また、国内外のあらゆる事業を通じて、お客さま・地域・社会とともに社会・地域課題の解決にグローバルに取組みます。

■エムティーアイ

社名

株式会社エムティーアイ

代表者名

代表取締役社長 前多 俊宏

本社所在地

東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー35F

HP

https://www.mti.co.jp/

事業内容

エムティーアイは、スマートフォンのコンテンツ配信などの豊富な実績とノウハウを生かし、『music.jp』『ルナルナ』をはじめ、「ヘルスケア」、「フィンテック」、「音楽・電子書籍」、「生活情報」など、ICTを活用し毎日の暮らしを豊かにそして便利にするサービスを提供しています。
また、自治体や医療機関、金融機関、アカデミアなど、幅広い業界と連携し、新しい社会の仕組みを構築することで「世の中を、一歩先へ」進め、より良い未来社会の実現に貢献します。

 

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エムティーアイが気象研究所の委託先に採択!

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、以下「当社」)は、内閣府が主導する「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)※」において、気象庁気象研究所(茨城県つくば市、以下「気象研究所」)の委託先として採択されました。  本年度は、「局地的・突発的な荒天対策のためのスタートアップとの連携:AIを用いたリアルタイム防災フィールド構築」において、これまでに鉄道事業者と航空事業者を対象に開発した竜巻予測システムを活用し、一般利用者向けに竜巻進路予測も可能な気象情報提供アプリを研究開発します。  ※詳細はこちら「内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/cstp/bridge/index.html」   ◆研究開発委託の背景  竜巻などの突風や局地的大雨による被害は国内外問わず相次いでおり、局地的・突発的に発生することが多いこのような大気現象を未然に防ぐための様々な対策が求められています。  気象研究所では、内閣府が主導する研究開発において、2018年よりAI(人工知能)を活用し、竜巻の進路や局地的大雨の予測精度の向上を目指す取組みを実施しており、それらのデータを活用し鉄道や航空機などの安全運行をサポートするシステムの開発を行ってきました。  当社は、ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』や航空気象システム『ARVI』などの気象情報サービスを提供し、利用者が直感的に危険を察知できるよう雨雲を3Dで立体的に描画する意匠権を保有していることや、これまでの取組みにおいて関連した開発実績があることから、気象研究所の委託先として採択されました。 <これまでの取組み> 2018年度~2020年度 鉄道事業者と航空事業者を対象に、竜巻等突風の予測情報と列車の運行情報や航空機の位置情報などを組み合わせ、竜巻等突風や局地的大雨による危険性を知らせるアラート情報生成システムの開発。※1 2021年度~2022年度 竜巻・局地的大雨の探知結果をスマートフォンやタブレット端末に通知するサーバーシステムを開発、将来的なサービス実用化に向けて、アラート情報生成システムをスマートフォン・タブレット端末向けに改良。※2 ユーザーが撮影した気象状況の画像情報をシステムへ登録する一連の機能を搭載した撮影アプリの開発。※3 ◆2023年度の研究開発について  当社はこれまで、鉄道事業者と航空事業者を対象に竜巻等突風・局地的大雨の探知・追跡情報と交通データおよび撮影者の視点を組み合わせたアラート情報生成システムや撮影アプリの開発を行ってきました。本年度はそのノウハウを生かし、アラート情報生成システムとGPS位置情報を組み合わせることで、一般利用者向けに竜巻の進路予測も可能な気象情報提供アプリの研究開発を行います。  本アプリでは、竜巻が発生するとリアルタイムにプッシュ通知で知らせ、竜巻の位置と予測進路を3D描画でアプリに表示します。さらに、現在地または検索地点が予測進路内の場合には警報通知が送信され、竜巻アラートボタンをクリックすることで詳細情報や風速イメージを確認することが可能です。  また、将来的な実用化に向け、竜巻に対する危機感を持ちユーザーが回避行動へ繋げることができるかアプリの有用性についての実証実験を行います。   (開発するアプリのイメージ図) 実施期間:令和5年10月23日から令和6年3月29日 ※本委託研究には、研究開発とSociety...

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、以下「当社」)は、内閣府が主導する「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」において、気象庁気象研究所(茨城県つくば市、以下「気象研究所」)の委託先として採択されました。
 本年度は、「局地的・突発的な荒天対策のためのスタートアップとの連携:AIを用いたリアルタイム防災フィールド構築」において、これまでに鉄道事業者と航空事業者を対象に開発した竜巻予測システムを活用し、一般利用者向けに竜巻進路予測も可能な気象情報提供アプリを研究開発します。

 ※詳細はこちら「内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/cstp/bridge/index.html

 

◆研究開発委託の背景

 竜巻などの突風や局地的大雨による被害は国内外問わず相次いでおり、局地的・突発的に発生することが多いこのような大気現象を未然に防ぐための様々な対策が求められています。
 気象研究所では、内閣府が主導する研究開発において、2018年よりAI(人工知能)を活用し、竜巻の進路や局地的大雨の予測精度の向上を目指す取組みを実施しており、それらのデータを活用し鉄道や航空機などの安全運行をサポートするシステムの開発を行ってきました。
 当社は、ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』や航空気象システム『ARVI』などの気象情報サービスを提供し、利用者が直感的に危険を察知できるよう雨雲を3Dで立体的に描画する意匠権を保有していることや、これまでの取組みにおいて関連した開発実績があることから、気象研究所の委託先として採択されました。

<これまでの取組み>

2018年度~2020年度

鉄道事業者と航空事業者を対象に、竜巻等突風の予測情報と列車の運行情報や航空機の位置情報などを組み合わせ、竜巻等突風や局地的大雨による危険性を知らせるアラート情報生成システムの開発。1
2021年度~2022年度

竜巻・局地的大雨の探知結果をスマートフォンやタブレット端末に通知するサーバーシステムを開発、将来的なサービス実用化に向けて、アラート情報生成システムをスマートフォン・タブレット端末向けに改良。2
ユーザーが撮影した気象状況の画像情報をシステムへ登録する一連の機能を搭載した撮影アプリの開発。3

2023年度の研究開発について

 当社はこれまで、鉄道事業者と航空事業者を対象に竜巻等突風・局地的大雨の探知・追跡情報と交通データおよび撮影者の視点を組み合わせたアラート情報生成システムや撮影アプリの開発を行ってきました。本年度はそのノウハウを生かし、アラート情報生成システムとGPS位置情報を組み合わせることで、一般利用者向けに竜巻の進路予測も可能な気象情報提供アプリの研究開発を行います。
 本アプリでは、竜巻が発生するとリアルタイムにプッシュ通知で知らせ、竜巻の位置と予測進路を3D描画でアプリに表示します。さらに、現在地または検索地点が予測進路内の場合には警報通知が送信され、竜巻アラートボタンをクリックすることで詳細情報や風速イメージを確認することが可能です。
 また、将来的な実用化に向け、竜巻に対する危機感を持ちユーザーが回避行動へ繋げることができるかアプリの有用性についての実証実験を行います。

 


(開発するアプリのイメージ図)

実施期間:令和5年10月23日から令和6年3月29日

※本委託研究には、研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)予算が活用されています。

 

<ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』について>3D雨雲ウォッチ
最先端の気象レーダー「フェーズドアレイレーダ」や気象庁Cバンド気象レーダーの観測データを用いて全国の雨雲を3D描画で表示し、今まで察知が難しかったゲリラ豪雨発生の可能性を予測し、約15分~20分前にスマートフォンのプッシュ通知でお知らせするサービスです。また、落雷情報や予測が難しい強い雪・豪雪(地域により基準値設定)の可能性なども通知することで、突発的な気象災害への対策をサポートし被害軽減を目指しています。
また、2020年度グッドデザイン賞を受賞し、利用者が直感的に危険を察知できるようデザインにも工夫をしています。
URL:http://pawr.life-ranger.jp

 

<航空気象システム『ARVI3DARVI』について>
『ARVI』は、航空機の運航に影響を与える気象情報とフライトプランを、ひとつの画面でまとめて確認ができる航空気象システムです。
リアルタイムな気象現象と飛行ルートをひと目で確認でき、運航管理者による気象条件の良いルート選択や、安全なフライトプランの作成を支援します。また、データ量の大きい複数の気象情報を重ねて表示してもスムーズに操作ができるため、パイロットや運航管理者は、飛行ルート上に危険な気象現象が発生していないかを素早く確認でき、業務の効率化も図ります。さらに気象現象を3Dで可視化する『3DARVI』も提供し、直感的かつ迅速な情報の把握を可能とすることで、航空機の安全な運航をサポートしています。
『ARVI』の詳細についてはこちら : https://www.aviavi-arvi.com/

 

※1:気象研究所の委託先として、エムティーアイの気象データの3D描画技術を活用し、鉄道・航空事業者向けに竜巻等突風の進路予測結果表示システムの研究開発を実施:https://www.mti.co.jp/?p=24457
エムティーアイの気象データの3D描画技術を活用し、竜巻等突風・局地的大雨の 探知・追跡情報と交通データを組み合わせた予測アラート情報生成システムを研究開発:https://www.mti.co.jp/?p=28760

※2:エムティーアイが気象研究所の委託先に採択 最終年度の集大成として、 竜巻・局地的大雨・交通データ・カメラを組み合わせた情報生成機能の高度化へ:https://www.mti.co.jp/?p=31667

※3:エムティーアイ、気象研究所の委託先として採択! 「気象レーダー・カメラ・GPS等の計測システムと交通データを組み合わせた竜巻・大雨に関する情報生成システムの研究開発」を実施:https://www.mti.co.jp/?p=30022

 

報道関係の方からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ 広報室
TEL: 03-5333-6755  FAX: 03-3320-0189
E-mail: mtipr@mti.co.jp  URL: http://www.mti.co.jp

 

一般のお客様からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ コンタクトセンター
E-mail: call_center@cc.mti.co.jp

 

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『3D雨雲ウォッチ』が、第46回隅田川花火大会の公認アプリに採択!

本日(2023/7/25)、下記のトピックを発信しました。 『3D雨雲ウォッチ』が、第46回隅田川花火大会の公認アプリに採択!~4年ぶりの開催に向け、気象情報の提供を通じ安全な大会運営をサポート~

エムティーアイ、あいおいニッセイ同和損保と気象災害に関わる課題解決に向けて業務提携

 株式会社エムティーアイ(代表取締役社長:前多 俊宏、以下、「当社」)は、MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(代表取締役社長:新納...

 株式会社エムティーアイ(代表取締役社長:前多 俊宏、以下、「当社」)は、MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(代表取締役社長:新納 啓介、以下 「あいおいニッセイ同和損保」)と気象災害に関わる課題解決に向けた業務提携契約を締結しましたのでお知らせします。
 業務提携の第1弾として、雹(ひょう)災の軽減を目的に、降雹を予測し通知するサービス開発を目指す取組みを行います。

◆業務提携の背景

 気象災害による被害が後を絶たない日本において、予測の困難な異常気象の危険性をいち早く通知し生活者の迅速な回避行動を促すことが気象情報サービス事業者へ求められています。そのような中、ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』をはじめとした気象情報サービスの提供を行う当社は、3D描画技術や最先端の気象レーダの情報を活用し、今まで検知が困難であった気象情報を予測し、直感的にわかりやすく利用者へ伝えるためのノウハウを培ってきました。
 また、損害保険業界にとって、地球温暖化などの気候変動に伴い増加する世界的な異常気象は、支払保険金に直結する経営課題であり、気象災害の被害軽減は早急に対策が必要なテーマのひとつです。あいおいニッセイ同和損保は、これまで、台風や豪雨などによる被災建物棟数を市区町村ごとに予測し、地図上に表示するサービス『cmap(シーマップ)』を開発し無償で公開するなど、災害時の迅速な被害予測をはじめ、避難や救助活動の支援を目的とした取組みを実施してきました。
 この度、当社はあいおいニッセイ同和損保と両社の強みを生かした新たな気象事業の検討を通じて、気象災害に関する被害軽減を目的とした業務提携契約を締結しました。

◆業務提携の内容

降雹予測の精密化
 2022年6月に関東地方で発生した雹災害では、あいおいニッセイ同和損保に寄せられた建物や自動車などに関する事故受付件数が23,000件を超えるなど、雹災による損害は大きいことがうかがえます。一方で、降雹は短い時間で急速に積乱雲が発達することが原因のため、予測が困難とされています。
 そのような雹災の軽減を目的に、当社とあいおいニッセイ同和損保は、当社が保有する、局所的に発生する積乱雲を事前に検知する技術と、あいおいニッセイ同和損保が保有する、実際に雹災が発生した地点の保険金支払いデータを掛け合わせ、降雹予測通知サービスの開発を行います。
 試験的な取組みとして、当社が独自に開発したゲリラ豪雨・降雹予測ロジックを活用し、2022年6月12日に関東地方で観測された降雹の事例をもとに、甚大な被害が出た地域を絞り込み雹の発生状況を事後的に解析したところ、同日のデータにおいては降雹を20分前に予測できることがわかりました。

 降雹が多くなると見込まれる2023年6月からは、東京や北関東を中心に実証実験を行い降雹予測の精度向上を図るとともに、サービス開発に向けた検証を進めます。本検証結果をもとに、当社のスマートフォンアプリや、あいおいニッセイ同和損保の「cmap」アプリにて降雹予測通知サービスの提供を目指します。

 ※あいおいニッセイ同和損保が受付した発生保険金ベース 2023年5月8日時点

◆今後の展開

 今後は、当社が培った局所的に急発達する気象現象をいち早く検知するノウハウ・実績と、あいおいニッセイ同和損保が掲げる、保険商品や新たなサービスを通じて、未知のリスクや社会・地域課題を解決する「CSV×DX」(シーエスブイバイディーエックス)の視点を掛け合わせ、気象災害の被害軽減に貢献していきます。
 具体的には、保険金支払いデータをもとにピンポイント地点での気象被害の実態を把握し、降雹だけでなく、ゲリラ豪雨や台風、線状降水帯、豪雪などに関する予測精度をさらに向上させることで、被害軽減のための回避行動に役立つ気象情報の配信を目指します。

 

≪あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の会社概要≫

社名

 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

代表者名

 代表取締役社長 新納 啓介

本社所在地

 東京都渋谷区恵比寿1−28−1

HP

 https://www.aioinissaydowa.co.jp/

事業内容

MS&ADインシュアランスグループ ホールディングス株式会社の中核事業会社として、自動車保険、火災保険、新種保険、傷害保険などの引き受けを行っています。中期経営計画の核となる考え方である「CSV×DX」を通じて、お客さま・地域・社会の未来を支えつづける会社を目指しています。

 

 

報道関係の方からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ 広報室
TEL: 03-5333-6755  FAX: 03-3320-0189
E-mail: mtipr@mti.co.jp  URL: https://www.mti.co.jp

 

一般のお客さまからのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ コンタクトセンター
E-mail:call_center@cc.mti.co.jp

 

 

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エムティーアイが気象研究所の委託先に採択 

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、以下「当社」)は、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)※において、気象庁気象研究所(茨城県つくば市、以下「気象研究所」)が2018年より実施する「AIを用いた竜巻等突風・局地的大雨の自動予測・情報提供システムの開発」の委託先として2022年度も採択されました。  5年連続の採択となる本年度は、「気象レーダーとカメラ映像を組み合わせた深層学習による運転支援のための高度な気象情報生成システムの研究開発」において、これまで開発したパソコン用システムの竜巻・局地的大雨の探知・追跡情報と交通データおよび撮影者の視点を組み合わせたアラート情報生成システムのスマートフォンやタブレットへの搭載や、昨年度開発を担った竜巻・局地的大雨などの顕著現象撮影アプリの高度化を実施します。  ※内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/cstp/prism/index.html ◆研究開発委託の背景  竜巻などの突風や局地的大雨による被害は国内外問わず相次いでいますが、局地的・突発的に発生することが多いこのような大気現象は、探知や高精度での予測は困難と言われています。  気象研究所では、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、2018年よりAI(人工知能)を活用し、竜巻の進路や局地的大雨の予測精度の向上を目指す取組みを実施しており、またそれらのデータを活用し鉄道や航空機などの安全運行をサポートするシステムの開発を行っています。  当社は、ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』や航空気象システム『ARVI』などの気象情報サービスを提供し、利用者が直感的に危険を察知できるよう雨雲を3Dで立体的に描画する意匠権を保有していることや、交通情報を取り扱うサービスの開発実績があることから、気象研究所の委託先として本年度も含め5年連続採択されています。 <これまでの取組み> 2018年度~2020年度 鉄道事業者と航空事業者を対象に、竜巻等突風の予測情報と列車の運行情報や航空機の位置情報などを組み合わせ、竜巻等突風や局地的大雨による危険性を知らせるアラート情報を生成するシステムの開発。※1 2021年度 竜巻・局地的大雨の探知結果をスマートフォンやタブレット端末に通知するサーバーシステムと、ユーザーが撮影した気象状況の画像情報をシステムへ登録する一連の機能を搭載した撮影アプリの開発。 ◆2022年度の取組み内容について  本年度は、これまでに開発したPC用の竜巻・局地的大雨など(顕著現象)の探知・追跡情報と交通データおよび撮影者の視点を組み合わせたアラート情報生成システムを、スマートフォンやタブレット端末向けに改良し、スムーズな操作や効果的な情報表示を実現することで、将来的なサービス実用化に向けたニーズ調査へ活用します。  また、昨年度開発を担った竜巻・局地的大雨などの顕著現象撮影アプリにおけるUI/UX※2改善を通じて、複数の竜巻・局地的大雨の探知情報が発生した場合の表示改良など、機能の高度化も行います。  さらに、日本同様竜巻が多い海外で利活用されることで、竜巻や局地的大雨による被害軽減につなげられる可能性も見据え、スマートフォンアプリの多言語化対応や海外地図上で竜巻データを表示する機能などの開発を行い、ニーズ調査※3につなげます。 実施期間:令和4年6月22日から令和5年3月31日 ※本委託研究には、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)予算が活用されています。   <ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』について> 最先端の気象レーダー「フェーズドアレイレーダ」や気象庁Cバンド気象レーダーの観測データを用いて全国の雨雲を3D描画で表示し、今まで察知が難しかったゲリラ豪雨発生の可能性を予測し、約15分~20分前にスマートフォンのプッシュ通知でお知らせするサービスです。また、落雷情報や予測が難しい強い雪・豪雪(地域により基準値設定)の可能性なども通知することで、突発的な気象災害への対策をサポートし被害軽減を目指しています。 2020年度グッドデザイン賞を受賞し、利用者が直感的に危険を察知できるようデザインにも工夫をしています。 URL:http://pawr.life-ranger.jp   <航空気象システム『ARVI』『3DARVI』について> 『ARVI』は、航空機の運航に影響を与える気象情報とフライトプランを、ひとつの画面でまとめて確認ができる航空気象システムです。 リアルタイムな気象現象と飛行ルートをひと目で確認でき、運航管理者による気象条件の良いルート選択や、安全なフライトプランの作成を支援します。また、データ量の大きい複数の気象情報を重ねて表示してもスムーズに操作ができるため、パイロットや運航管理者は、飛行ルート上に危険な気象現象が発生していないかを素早く確認でき、業務の効率化も図ります。さらに気象現象を3Dで可視化する『3DARVI』も提供し、直感的かつ迅速な情報の把握を可能とすることで、航空機の安全な運航をサポートしています。 『ARVI』の詳細についてはこちら...

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、以下「当社」)は、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、気象庁気象研究所(茨城県つくば市、以下「気象研究所」)が2018年より実施する「AIを用いた竜巻等突風・局地的大雨の自動予測・情報提供システムの開発」の委託先として2022年度も採択されました。
 5年連続の採択となる本年度は、「気象レーダーとカメラ映像を組み合わせた深層学習による運転支援のための高度な気象情報生成システムの研究開発」において、これまで開発したパソコン用システムの竜巻・局地的大雨の探知・追跡情報と交通データおよび撮影者の視点を組み合わせたアラート情報生成システムのスマートフォンやタブレットへの搭載や、昨年度開発を担った竜巻・局地的大雨などの顕著現象撮影アプリの高度化を実施します。
 ※内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/cstp/prism/index.html

◆研究開発委託の背景

 竜巻などの突風や局地的大雨による被害は国内外問わず相次いでいますが、局地的・突発的に発生することが多いこのような大気現象は、探知や高精度での予測は困難と言われています。
 気象研究所では、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、2018年よりAI(人工知能)を活用し、竜巻の進路や局地的大雨の予測精度の向上を目指す取組みを実施しており、またそれらのデータを活用し鉄道や航空機などの安全運行をサポートするシステムの開発を行っています。
 当社は、ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』や航空気象システム『ARVI』などの気象情報サービスを提供し、利用者が直感的に危険を察知できるよう雨雲を3Dで立体的に描画する意匠権を保有していることや、交通情報を取り扱うサービスの開発実績があることから、気象研究所の委託先として本年度も含め5年連続採択されています。

<これまでの取組み>

2018年度~2020年度 鉄道事業者と航空事業者を対象に、竜巻等突風の予測情報と列車の運行情報や航空機の位置情報などを組み合わせ、竜巻等突風や局地的大雨による危険性を知らせるアラート情報を生成するシステムの開発。1
2021年度 竜巻・局地的大雨の探知結果をスマートフォンやタブレット端末に通知するサーバーシステムと、ユーザーが撮影した気象状況の画像情報をシステムへ登録する一連の機能を搭載した撮影アプリの開発。

2022年度の取組み内容について

 本年度は、これまでに開発したPC用の竜巻・局地的大雨など(顕著現象)の探知・追跡情報と交通データおよび撮影者の視点を組み合わせたアラート情報生成システムを、スマートフォンやタブレット端末向けに改良し、スムーズな操作や効果的な情報表示を実現することで、将来的なサービス実用化に向けたニーズ調査へ活用します。
 また、昨年度開発を担った竜巻・局地的大雨などの顕著現象撮影アプリにおけるUI/UX2改善を通じて、複数の竜巻・局地的大雨の探知情報が発生した場合の表示改良など、機能の高度化も行います。
 さらに、日本同様竜巻が多い海外で利活用されることで、竜巻や局地的大雨による被害軽減につなげられる可能性も見据え、スマートフォンアプリの多言語化対応や海外地図上で竜巻データを表示する機能などの開発を行い、ニーズ調査3につなげます。

実施期間:令和4年6月22日から令和5年3月31日
※本委託研究には、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)予算が活用されています。

 

<ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』について>3D雨雲ウォッチ
最先端の気象レーダー「フェーズドアレイレーダ」や気象庁Cバンド気象レーダーの観測データを用いて全国の雨雲を3D描画で表示し、今まで察知が難しかったゲリラ豪雨発生の可能性を予測し、約15分~20分前にスマートフォンのプッシュ通知でお知らせするサービスです。また、落雷情報や予測が難しい強い雪・豪雪(地域により基準値設定)の可能性なども通知することで、突発的な気象災害への対策をサポートし被害軽減を目指しています。
2020年度グッドデザイン賞を受賞し、利用者が直感的に危険を察知できるようデザインにも工夫をしています。
URL:http://pawr.life-ranger.jp

 

<航空気象システム『ARVI3DARVI』について>
『ARVI』は、航空機の運航に影響を与える気象情報とフライトプランを、ひとつの画面でまとめて確認ができる航空気象システムです。
リアルタイムな気象現象と飛行ルートをひと目で確認でき、運航管理者による気象条件の良いルート選択や、安全なフライトプランの作成を支援します。また、データ量の大きい複数の気象情報を重ねて表示してもスムーズに操作ができるため、パイロットや運航管理者は、飛行ルート上に危険な気象現象が発生していないかを素早く確認でき、業務の効率化も図ります。さらに気象現象を3Dで可視化する『3DARVI』も提供し、直感的かつ迅速な情報の把握を可能とすることで、航空機の安全な運航をサポートしています。
『ARVI』の詳細についてはこちら : https://www.aviavi-arvi.com/

 

※1:気象研究所の委託先として、エムティーアイの気象データの3D描画技術を活用し、鉄道・航空事業者向けに竜巻等突風の進路予測結果表示システムの研究開発を実施:https://www.mti.co.jp/?p=24457
エムティーアイの気象データの3D描画技術を活用し、竜巻等突風・局地的大雨の 探知・追跡情報と交通データを組み合わせた予測アラート情報生成システムを研究開発:https://www.mti.co.jp/?p=28760
※2:UI(User Interface)ユーザーがWebサイトやアプリケーションなどサービスを利用する際の入力や表現方法などの仕組みを意味し、UX(User Experience)は、ユーザーがサービスの利用を通じて得られる体験や価値などのユーザー体験を指す。
※3:ニーズ調査の実施は他委託事業社にて行う予定です。

 

報道関係の方からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ 広報室
TEL: 03-5333-6755  FAX: 03-3320-0189
E-mail: mtipr@mti.co.jp  URL: http://www.mti.co.jp

 

一般のお客様からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ コンタクトセンター
E-mail: call_center@cc.mti.co.jp

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航空気象システム『ARVI』、スカイネットアカデミーに正式導入!

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、代表取締役社長:前多 俊宏、以下「当社」)が企画・開発した航空気象システム『ARVI(アーヴィー)』は、スカイネットアカデミー株式会社(東京都三鷹市、代表取締役社長:服部...

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、代表取締役社長:前多 俊宏、以下「当社」)が企画・開発した航空気象システム『ARVI(アーヴィー)』は、スカイネットアカデミー株式会社(東京都三鷹市、代表取締役社長:服部 浩行、以下「スカイネットアカデミー」)に正式導入され、5月より提供を開始します。

 

◆『ARVI』では初となる小型機を対象とした航空機使用事業社の実運航を支援!

 スカイネットアカデミーは、東京と仙台の2拠点をベースに、航空機の操縦訓練やチャ-タ-飛行、航空機整備をはじめ、その他小型飛行機を利用した定期航空運送事業以外のあらゆるサービスと、最高レベルの安全性と技術を提供する飛行に関するプロフェッショナルな航空機使用事業社です。
 『ARVI』は主に国内のエアラインに導入・活用されてきましたが、今回新たに、低層域の気象情報を追加することで、小型機を活用した事業を展開するスカイネットアカデミーで正式導入され5月より提供を開始します。

◆低層域の気象情報を追加し、パイロットを目指す操縦訓練の安全もサポート!

 『ARVI』は、雨雲や雪、風、火山、台風など航空機の運航に影響を与える気象情報とフライトプランを、ひとつの画面でまとめて確認ができる航空気象システムです。今回、低層域の気象情報を新たに追加し小型機の運航に影響を及ぼす気象情報の確認が可能となりました。
 スカイネットアカデミーでは、主にプロのパイロットを目指す人に向けた操縦訓練事業にて『ARVI』を活用します。訓練飛行時に気象状況の確認や安全なフライトプラン作成を支援するほか、パソコンやタブレットなど複数のデバイスや職場以外の場所からも気象情報の確認が簡単にできるようになることで、業務の効率化もサポートします。

 

【スカイネットアカデミー株式会社 運航部機長 教官 稲生 健太郎様からのコメント】
『ARVI』の特徴は、各種データが一つの画面に集約されていることです。そのため、情報が見易く、従来よりも短時間で天候の把握ができ役立っています。また、経路に応じた断面図を作成し、下層部分を拡大して確認できるため、低高度を飛行する小型機の運用にも有効に活用できています。
今後は、実運航で必要な情報の入手についてパイロット訓練生にも『ARVI』を活用し、教育していくことを考えています。

  

 

 『ARVI』は今後、旅客機や小型機だけでなくヘリコプターを運航する航空機使用事業社など、幅広く活用されるサービスへの発展と、航空気象分野のデジタル化を推進することで、さらなる空の安全への貢献を目指します。

 

<『ARVI』について> 
 航空機の運航に影響を与える気象情報とフライトプランを、ひとつの画面でまとめて確認ができる航空気象システムです。
 リアルタイムな気象現象と飛行ルートをひと目で確認でき、運航管理者による気象条件の良いルート選択や、安全なフライトプランの作成を支援します。また、データ量の大きい複数の気象情報を重ねて表示してもスムーズに操作ができるため、パイロットや運航管理者は、飛行ルート上に危険な気象現象が発生していないかを素早く確認でき、業務の効率化も図ります。さらに気象現象を3Dで可視化する『3D ARVI』も提供し、直感的かつ迅速な情報の把握を可能とすることで、航空機の安全な運航をサポートしています。

『ARVI』の詳細についてはこちら : https://www.aviavi-arvi.com/

 

 

報道関係の方からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ 広報室
TEL: 03-5333-6755  FAX: 03-3320-0189
E-mail: mtipr@mti.co.jp  URL: https://www.mti.co.jp/

 

『ARVI』導入に関するお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ コンタクトセンター
E-mail: arvi_support@cc.mti.co.jp 

 

 

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航空気象を、一歩先へ。『3DARVI』が目指す未来

3D航空気象アプリ『3DARVI』サービス紹介動画 企画・開発者インタビュー   プロフィール ライフ・エンターテインメント・スポーツ事業本部...

3D航空気象アプリ『3DARVI』サービス紹介動画

企画・開発者インタビュー

 

プロフィール

ライフ・エンターテインメント・スポーツ事業本部 ライフ事業部
気象サービス部長
小池 佳奈

大学時代環境分野を学び、大学院1年の時に気象予報士の資格を取得。
当社では気象予報士の知識や実務経験を生かしたサービス企画を主に担当。2019年に航空気象システム『ARVI』を立ち上げ、2021年8月に『3DARVI』をリリース。

航空の現場での使いやすいUIと、被雷危険領域予測技術搭載に向け試行錯誤の連続!

『3DARVI』のリリースまでの道のりを教えてください。

 気象関係のシンポジウムにて、ゲリラ豪雨予報アプリ『3D雨雲ウォッチ』の取組みを紹介したところ、航空事業者の方から「気象現象を3Dで可視化することは航空業界で役に立つのではないか」と意見を頂きました。
 そこで、様々な航空事業者の方が参加されている会議で『3D雨雲ウォッチ』を紹介し、3D可視化のノウハウを航空気象でどのように活用できそうかディスカッションさせて頂きました。その中で、当社が培ってきたコンシューマー向け気象情報サービス提供のノウハウや気象情報の3D可視化技術を航空気象の分野でも生かせるのではないかと考え、航空気象システム『ARVI』を立ち上げました。
 その後、ご興味を持ってくださった全日本空輸株式会社(以下、ANA)とともにプロトタイプを作成し、本格的な事業化に向けて、ANA、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)と共同で『3DARVI』のサービス開発を開始しました。

『3DARVI』のリリースまでに苦労したのはどのような点ですか?

雲の3D画像

雲の3D画像

 航空の運航現場で使いやすいUI/UXのサービスを作ることと、被雷危険性予測技術※を活用した情報をサービスに搭載することが苦労した点です。
 『3DARVI』では、『3D雨雲ウォッチ』のように雨雲を3Dで可視化するだけでなく、航空機の運航に関わる気象現象すべてを3Dで可視化していきたいと考えていました。さらにパイロットやディスパッチャーの皆様が業務で利用しやすいかなど、様々な利用シーン別に最適なサービスデザインを考える必要があり、実際に現場で利用されるANAの皆様からフィードバックを頂き、勉強しながら作り上げています。
 また、なんでも3Dで可視化すればわかりやすいわけではなく、気象予報士としての自身の経験も踏まえ、2Dの方がわかりやすい情報は2Dで見せる判断をするなど、より使いやすいUIを実現するために社内でも議論しながら開発を進めました。
 『3DARVI』には、JAXAが開発を行っている航空機被雷が発生しうる領域を予測する世界初の技術(被雷危険性予測技術)を搭載しています。その予測技術を活用させて頂き、被雷危険領域予測をリアルタイムに表示するためのアルゴリズム調整を行い、現場で実際に利用するためには、どのようにサービス上で表示すべきかをJAXA、ANA、当社の3社で何度も話し合いを重ね、試行錯誤しながら実現しました。

航空経路の気象状況を3D可視化することで誰もが認識しやすいものに

『3DARVI』のサービスのポイントは?

 やはり一番のポイントは気象情報や航空情報を3Dで可視化している点です。
 今までの2Dの気象情報では、パイロットやフライトプランを作成するディスパッチャーの皆様は、航空機が地上から上空へ飛んでいく経路において、「上空〇〇hPaと××hPa付近の天気図を見ると、この高度が揺れやすそうだな、被雷しやすいから気を付けよう」など、航空機の安全運航に向けて考慮しなければならないいくつもの2Dの気象情報を頭に入れ、それらを立体的にイメージし、危険回避の判断をしたりフライトプランの検討をしなければなりませんでした。
 しかし、航空機の運航に必要な気象現象を3Dで表示することで、パイロットやディスパッチャーの皆様が頭の中でイメージしていた航空経路の気象状況を、誰もが簡単に視覚的に捉えることができるようになります。
 また、気象状況を立体でイメージすることは、業務経験が浅い人や不得意な人にとっては難しく、ベテランであってもそれなりに時間のかかる作業ですし、個人個人によって認識に差が出る部分もあるかと思いますが、そういった課題も3D可視化により解決でき、業務の効率化にもつながると考えています。

被雷危険領域の予測を実現し、より安心安全なフライトへの貢献を目指す!

『3DARVI』で今後実現したいことを教えてください

 現在はリアルタイムに被雷危険領域予測を可視化するものですが、数時間先まで予測することで飛行機が目的地に到着する時の予測を確認できるよう、予測時間の延伸を目指しています。
 また、近年ゲリラ豪雨が多く発生していますが、それは航空機の運航にも影響する積乱雲が発生しやすくなっている状況と言えます。現在、航空機の被雷や揺れに繋がる可能性のある積乱雲などの気象現象が発生した際には、多くの場合水平方向に避ける形で回避されていると伺っていますが、『3DARVI』にさらに様々な気象情報を盛り込むことで予測の精度が向上すれば、高度を上げ下げすることにより安全が確保できる新たな選択肢が増えて、より安心・安全に航空機を運航できる未来の実現に向けて少しでもお役に立つことができるのではないかと考えています。

 

※:JAXA 「WEATHER-Eyeビジョン」 https://www.weather-eye.jp/files/pdf/WEATHER-Eye-Vision_rev3_final.pdf

<JAXA 被雷危険性予測技術について研究発表>
Yoshikawa, E., & Ushio, T. (2019). Tactical Decision-Making Support Information for Aircraft Lightning Avoidance: Feasibility Study in Area of Winter Lightning, Bulletin of the American Meteorological Society, 100(8), 1443-1452. Retrieved May 17, 2021, from
https://journals.ametsoc.org/view/journals/bams/100/8/bams-d-18-0078.1.xml

 

プロフィール

土屋 雅尚

2011年に入社後『music.jp』のAndroidアプリを中心に開発を行い、2019年より気象サービスの開発に従事。『3DARVI』では主に被雷危険領域の可視化を実現するための開発を担当した。

被雷危険領域のリアルタイム表示に向けたアルゴリズム調整とは?

『3DARVI』の開発にはどのように携わりましたか?

 JAXAが実施する、過去の航空機被雷実績と気象データの分析により、航空機被雷が発生しうる領域を予測する世界初の技術である、被雷危険性予測技術を活用して、リアルタイムに被雷の可能性がある領域を3Dで可視化するためのアルゴリズムの調整を主に担当しました。

リアルタイムに被雷可能性を可視化するためのアルゴリズムとはどのようなものですか?

被雷危険領域予測表示サンプル画面

被雷危険領域予測表示サンプル画面

 JAXAの被雷危険性予測技術は、日本国内の研究のために選んだ範囲で観測された過去の気象データをもとに研究を進めてこられました。実際に航空会社が日本全国、最新の気象条件に合わせてリアルタイムで利用するには技術的課題がありました。そこで、被雷危険性予測技術の理論に基づき、当社が取得している日本全国の更新頻度が高い最新の気象情報を用いて、被雷危険度を算出するアルゴリズムに改良しました。これにより、日本全国の空港付近の被雷危険度をリアルタイムに算出することができます。
 本アルゴリズムによって算出された被雷危険度は、JAXAの研究理論で導いたものと相違ないものであるとJAXAからも認められています。
 また、更なるアルゴリズムの改良として水平方向の被雷危険領域を表示するだけでなく、高度による絞り込みを組み込み、3D表示できるよう調整しました。なぜなら、同じ被雷危険領域であっても高度によって危険度は変わり、フライトの際に高度を上げ下げする形で被雷を回避する選択肢が増えることで、より安全な運航判断がしやすくなると考えたからです。

被雷危険領域予測時間の延伸を目指し、新たなアルゴリズム作成に挑戦

『3DARVI』の今後の展望は?

 運用を開始したばかりのサービスなので、サービス自体をより使いやすく改善していきたいと考えています。
 さらに、現在は被雷危険領域のリアルタイム表示をしている段階なので、飛行機が飛ぶ前に到着予定時刻の目的地周辺の被雷予測を目指し、今後予測時間の延伸を考えています。被雷危険度の「リアルタイム表示」と「予測」では別の気象情報を使う必要があるため、予測のアルゴリズムを作るために一から考えて準備をしていきたいと思います。

 

プロフィール

平野 祐一

2015年開発職として新卒入社。『music.jp』の開発などを経て『ARVI』、『3DARVI』の開発に従事。サービスを開発する上での上流工程となるシステム全体の設計を担当するシステムアーキテクトを主に担当した。

データ量は毎日4億レコード?!膨大なデータの高速処理を実現

『3DARVI』の開発ではどのような役割を担いましたか?

 主に気象やフライトデータをサービス上で表示するために、データを使いやすい形に変換するシステムの設計を担当しました。
 気象に関するデータはデータ量がとても大きいものが多いです。数値予報モデルという種類のデータでは航空機の飛行に必要な10~100個くらいの限られたデータを取り出しやすくするためにデータを分解するのですが、これが1データ当たり数千万レコードになることがあります。“レコード”というのは、例えばエクセルの1行だと思っていただけるとわかりやすいと思います。その“レコード”が合計すると1日に4億ほど届きます。
 その大量のデータを変換し、効率的に取得する仕組みを考えてシステム設計をすることで、サーバーの負荷を軽減し、予算を抑えつつ必要なデータを高速に抽出することを実現しました。

『3DARVI』の画期的な部分はどのようなところですか?

ARVI上の航空経路の断面図サンプル画面

ARVI上の航空経路の断面図サンプル画面

 『ARVI』や『3DARVI』では航空経路の断面図を表示できるのですが、気象情報提供元から送られてくる膨大なデータを適切に処理・加工することで、飛行経路の気象情報を数分以内に高速に取得し、アプリ上に1秒未満で正しくグラフィカルに表示することを実現しています。今までこのようなシステムがなかったため、航空会社の方々にも「こんなに早く表示できるの!?」と驚かれ、喜ばれているようです。

 さらに被雷危険性予測技術を搭載していますが、誘発雷の危険度をリアルタイムに可視化するためには、10分毎に送られてくる最新の気象データを10分以内に処理する必要があります。高速にデータを処理し、誘発雷の危険度を算出するためにシステムの性能を高めることで、被雷危険領域のリアルタイム表示を実現しています。

『3DARVI』ならではの情報を搭載し、強みを増やす

『3DARVI』で今後どのようなことを目指していますか?

 現在、運航に必要な基本的な気象情報やフライト情報を表示させることはできていますが、ほかの情報もアプリ上で表示できないかといった要望もあり、その実現に向けて考えていきたいと思います。
 開発したシステムにはデータの処理量に十分な余力があり、追加でデータを処理することは可能なので、今後必要とするデータをいかに取得しサービスに搭載していくかが課題となります。利用者の要望に応え、『3DARVI』だからこそ提供できる強みを増やしていきたいです。

 

※Google Play、Androidは、Google LLC.の商標または登録商標です。

エムティーアイ、気象研究所の委託先として採択! 「気象レーダー・カメラ・GPS等の計測システムと交通データを組み合わせた 竜巻・大雨に関する情報生成システムの研究開発」を実施

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、以下「当社」)は、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)※において、2018年より気象庁気象研究所(茨城県つくば市、以下「気象研究所」)が実施する、「AIを用いた竜巻等突風・局地的大雨の自動予測・情報提供システムの開発」の委託先として2021年度も採択されました。今回は、「気象レーダー・カメラ・GPS等の計測システムと交通データを組み合わせた竜巻・大雨に関する情報生成システムの研究開発」において、撮影アプリの開発を実施します。 ※内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/cstp/prism/index.html ...

 株式会社エムティーアイ(東京都新宿区、以下「当社」)は、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、2018年より気象庁気象研究所(茨城県つくば市、以下「気象研究所」)が実施する、「AIを用いた竜巻等突風・局地的大雨の自動予測・情報提供システムの開発」の委託先として2021年度も採択されました。今回は、「気象レーダー・カメラ・GPS等の計測システムと交通データを組み合わせた竜巻・大雨に関する情報生成システムの研究開発」において、撮影アプリの開発を実施します。

※内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/cstp/prism/index.html

◆研究開発委託の背景

 気象研究所では、内閣府が主導する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、2018年よりAI(人工知能)を活用し竜巻の進路や局地的大雨を予測することで、鉄道や航空機などの安全運行をサポートするシステムの開発を行っています。
 当社は、ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』や航空気象システム『ARVI』などの気象情報サービスを提供しており、そのノウハウを生かした研究開発が可能であることから、気象研究所の委託先として、本年度も含め4年連続採択されています。
 2018年度から2020年度は、鉄道事業者と航空事業者を対象に、竜巻等突風の予測情報と列車の運行情報や航空機の位置情報などを組み合わせ、竜巻等突風や局地的大雨による危険性を知らせるアラート情報を生成するシステムの開発をしました。1

◆2021年度の研究開発について

 本年度は、「気象レーダー・カメラ・GPS等の計測システムと交通データを組み合わせた竜巻・大雨に関する情報生成システムの研究開発」において、撮影アプリの開発を担います。
 本アプリは、気象レーダーが探知した竜巻等突風や局地的大雨などの情報を、その近辺にいる撮影者2のスマートフォンにプッシュ通知で知らせ、撮影者が撮った実際の気象状況の画像を、AIで解析3して雲の種類を判別後、サーバーに自動で送ることができます。
 また、竜巻・局地的大雨の複合アラート情報配信システムにおいて撮影者ビューを新たに追加し、気象レーダーによって捉えられた探知情報とAI解析した撮影画像情報を比較検証する機能も開発します。

<実施期間>
令和3年6月18日から令和4年3月31日

※本委託研究には、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)予算が活用されています。

 

<ゲリラ豪雨検知アプリ『3D雨雲ウォッチ』について>3D雨雲ウォッチ

最先端の気象レーダ「フェーズドアレイレーダ」や気象庁Cバンド気象レーダーの観測データを用いて全国の雨雲を3D描画で表示し、今まで察知が難しかったゲリラ豪雨発生の可能性を予測し、約15分~20分前にスマートフォンのプッシュ通知でお知らせするサービスです。また、落雷情報や予測が難しい強い雪・豪雪(地域により基準値設定)の可能性なども通知することで、突発的な気象災害への対策をサポートし被害軽減を目指しています。
また、2020年度グッドデザイン賞を受賞し、利用者が直感的に危険を察知できるようデザインにも工夫をしています。
URL:http://pawr.life-ranger.jp

 

<航空気象システム『ARVI』『3DARVI』について>
『ARVI』、『3DARVI』は、エムティーアイが提供する航空気象総合システムです。
雨雲や雪、風、火山、台風など航空機の運航に影響を与えるあらゆる気象・災害情報が揃っており、ルートやフライトプラン、トラッキングデータ(一部オプション機能)をひとつの画面でまとめて確認が可能です。すでに、国内のエアラインに導入され、活用されています。
『ARVI』は、「air + vision」から作った造語です。「明瞭に先を見通しながら、安全運航をサポートさせて頂きたい」という想いから命名し、航空機の安全な運航をサポートするとともに、業務効率化を図ります。

 

※1:気象研究所の委託先として、エムティーアイの気象データの3D描画技術を活用し、鉄道・航空事業者向けに竜巻等突風の進路予測結果表示システムの研究開発を実施:https://www.mti.co.jp/?p=24457
エムティーアイの気象データの3D描画技術を活用し、竜巻等突風・局地的大雨の 探知・追跡情報と交通データを組み合わせた予測アラート情報生成システムを研究開発:https://www.mti.co.jp/?p=28760
※2:防災関係者など、竜巻等の目撃情報をいち早く通報する特定の人となります。
※3:撮影された画像の雲の種類をAIにて解析する開発は、他委託事業社にて行います。

 

 

報道関係の方からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ 広報室
TEL: 03-5333-6755  FAX: 03-3320-0189
E-mail: mtipr@mti.co.jp  URL: http://www.mti.co.jp

 

一般のお客様からのお問い合わせ先
株式会社エムティーアイ コンタクトセンター
E-mail: call_center@cc.mti.co.jp

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