B to C サービス開発・運用のノウハウを生かし、顧客の開発パートナーとなる

 当社では1996年の創業以来、『ルナルナ』や『music.jp』などのB to Cモバイルサービスを提供する一方で、そのノウハウを生かし、取引先企業の開発パートナーとしてサービス企画・開発を行ったり、ICTを通じて事業の変革を目指すデジタルトランスフォーメーション支援を行っています。  今回は金融機関向けサービス『&Pay』や取引先企業のサービス開発を担当する吉田直人に、当社が提供するソリューションの特長について聞きました。 Profile 吉田直人 テクノロジー本部 IT...

 当社では1996年の創業以来、『ルナルナ』や『music.jp』などのB to Cモバイルサービスを提供する一方で、そのノウハウを生かし、取引先企業の開発パートナーとしてサービス企画・開発を行ったり、ICTを通じて事業の変革を目指すデジタルトランスフォーメーション支援を行っています。
 今回は金融機関向けサービス『&Pay』や取引先企業のサービス開発を担当する吉田直人に、当社が提供するソリューションの特長について聞きました。

Profile
吉田直人
テクノロジー本部 IT エンジニア部
ARやエンタメ系サービスなどの B to C サービス・アプリの開発を経て、既存の PC ・フィーチャーフォン サイトをスマートフォンサイトへ自動変換して最適化する『モバイルコンバート』をはじめとする B to B サービス開発に従事。フィンテック事業の立ち上げから参画し、口座直結型の QR コード決済サービス『 &Pay 』の開発を行う。

―エムティーアイが提供するB to Bサービスにはどのようなものがありますか?

 既存のPC・フィーチャーフォンサイトをスマートフォン向けに自動変換して最適化する『モバイルコンバート』や口座直結型のQRコード決済サービスの『&Pay』、これまでエムティーアイがB to Cサービスの開発・運用で培ってきたノウハウを生かして企業のデジタル変革を支援するDXサービスなどがあります。
 私自身は、これまで6年ほどB to Bサービスの開発を担当しており、2015年頃のフィンテック事業の立ち上げ時から参画し、『&Pay』の開発に携わりました。

正確性が高いセキュアなシステム構築とユーザービリティを両立

―フィンテック事業の立ち上げ、『&Pay』の開発背景について教えてください。

 当時『モバイルコンバート』を多くの金融機関に提供していたこともあり、金融機関が抱える課題を解決するためにフィンテック事業が始まりました。
 その頃、銀行が決済APIの提供を始めたこともあり、そのAPIを使って決済処理ができる『&Pay』を開発しました。『&Pay』は金融機関の更新系APIと連携することで、クレジットカードの登録や事前チャージなどを必要とせず、口座残高からそのまま買い物が可能となる口座直結型の決済サービスで、更新系APIを公開している銀行であればどこの銀行でも適用できます。
 金融機関向けサービスは、銀行の決済情報という非常にセンシティブな情報を扱うサービスの特性上、堅牢なセキュリティや1円単位での間違いも許さない仕組みを障害なく運用する技術が必要となります。
 また一方で、ユーザーにとって使いやすいUI/UXを実現することも重要です。
 当社では、企業からの依頼に従ってただ受託開発するのではなく、企業の抱える課題やユーザーに提供する価値も含めて最適な形を検討し、企業のパートナー・アドバイザーとして支援を行っています。
 セキュリティ、正確性はもちろんのこと、『ルナルナ』『music.jp』など多くの利用者を抱えるスマートフォンアプリの開発実績やノウハウをもとに、ユーザーの利便性まで考慮したサービス作りを行えるのが当社の強みです。

数千万規模のユーザーに最適な形でサービスを届ける技術、ノウハウ

―B to Bサービス開発におけるエムティーアイならではの価値とは?

 当社では200を超える様々なサービスを提供してきた実績があります。その多くはスマートフォン向けのアプリやWEBサービスです。その開発・運用のノウハウをもとに、他社でも使えるソリューションとして提供しているものの一つに、私自身が開発に関わった『ValuePush』というサービスがあります。
 これは、ユーザーにプッシュ通知を一斉送信できる機能を提供するサービスです。iOS・Android OSそれぞれ通知を送る手順は異なります。更に、ユーザーが利用する端末機種ごとに通知が届かない、通知タイミングにばらつきが出てしまうなどの問題が起こらないか確認するのには工数もかかります。『ValuePush』は上記のような課題を解決し、管理画面から一括で全ユーザーにプッシュ通知の送信が可能です。
 当社は自社サービスだけでも数百万から数千万というユーザーに利用いただいており、ユーザーが最適な形で利用できるようにサービスの企画・UI/UXデザイン・開発を進める体制やノウハウがあります。また、1,000台以上のスマートフォンを所有し、あらゆる機種やOSで実機テストができる環境が整っています。
 取引先企業の開発を担う際、あらゆるユーザーの利用を想定した対応が可能であることは、スマートフォン向けサービスに強みのある当社ならではの特長あると評価をいただいています。『ValuePush』のようなサービスは、大規模ユーザーを抱える当社だからこそ実現できるものだと思います。

取引先企業とタッグを組み、サービス企画・開発まで併走することでDXを支援

―取引先企業と共に行うサービス開発には、どのような強みがあるのでしょうか?

 ともに開発を行う場合、クラウドの最新技術も追いかけつつも、常に最適な形を模索し、オンプレミス※からクラウドまでさまざまな技術を使い分けています。
 例えば、クラウド開発ではAzure、AWSどちらかを専門に扱っているという開発業者も多く、選択によっては実現したいサービスが思うように開発できないということもあります。当社では取引先企業が目指すサービス像に最適な手法で開発を進めることができるという点で開発パートナーに選ばれることが多くなっています。
 最近では、企業とより強固なパートナーシップを結ぶデジタルトランスフォーメーション(DX)支援事業も始まっています。
 DX支援事業では、取引先企業の担当者数名と当社の企画者・開発者・デザイナーがチームを組んで、サービス企画からプロトタイプの開発までを最短2週間で行い、その後も短期間で実装とテストを繰り返し行っていくアジャイル開発体制の提供を行っています。
 システム開発の発注を受けた受託開発企業として請け負うのではなく、当社の持つ人的リソースや体制を提供し、中長期的なパートナーとなってアジャイル開発の文化が根付くよう支援します。

ベトナム開発拠点の様子

 DX支援する際には、当社のベトナム開発拠点も交えてアジャイル開発を進めます。これは、オンショアまたはオフショアのいずれかで開発を完結するのではなく、オンショア・オフショア両者で連携しながら開発を行う体制を構築している当社だからこそ提供できるものだと思います。
 これからオンショア・オフショアを連携した開発を行うための参考にしたいという要望があれば、実際にベトナムの開発拠点と共にチームビルディングや開発を行いながらノウハウを蓄積いただくことが可能です。

 今後も当社だからこそ提供できるソリューションや価値を、開発パートナーとして多くの取引先企業に届けていきたいと思います。

 

※自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用する形式を指す。

1,500万ダウンロード『ルナルナ』を支えるクラウドシステム開発技術

 1,500万ダウンロードを突破し、多くのユーザーに利用される『ルナルナ』は2000年にフィーチャーフォン向けサービスとしてスタートし、ライフステージや悩みに合わせて女性の一生をサポートしています。  今回は、『ルナルナ』が素早くユーザーに価値を届けるための開発体制の構築について、2015年から5年間に渡り『ルナルナ』に携わってきた開発者に聞きました。 Profile 赤間...

 1,500万ダウンロードを突破し、多くのユーザーに利用される『ルナルナ』は2000年にフィーチャーフォン向けサービスとしてスタートし、ライフステージや悩みに合わせて女性の一生をサポートしています。
 今回は、『ルナルナ』が素早くユーザーに価値を届けるための開発体制の構築について、2015年から5年間に渡り『ルナルナ』に携わってきた開発者に聞きました。

Profile

赤間 紀郎

テクノロジー本部 ITサービスマネジメント部

前職は国内ITセキュリティベンダーにて自社プライベートクラウドサービスの設計・構築・運用を担当。2015年から『ルナルナ』のクラウド開発環境構築に携わる。現在ヘルスケア事業部門にて『ルナルナ』をはじめとする自社大規模WEBサービスの設計・運用を専任で担当。

『ルナルナ』の開発におけるターニングポイント

―現在の『ルナルナ』の開発・運用環境について教えてください。

 『ルナルナ』は現在クラウド環境で開発を行っていますが、オンプレミス※からクラウド環境に移行する大規模なサービスリニューアルがターニングポイントになったと考えています。
 私が『ルナルナ』の開発メンバーとして加わったタイミングは、ちょうどオンプレミスからMicrosot Azureのクラウド環境に移行した直後でした。当時はクラウドに移行したてということもあり、従来の作業フローからの変更点も多く、これから作業を円滑に進めて行くためのフローも整っていない状態でした。最初の半年から1年程度は移行した運用環境のことを勉強しながら、サービスを安定的に運用し、改善していくために、企画者から上がってくる要求にオフショア拠点である中国の開発者と連携しながら対応する日々でした。
 クラウド環境に移行したことで、2週間程度の短期間で開発・実装とテストを繰り返し行っていくアジャイル開発を取り入れることになったため、リニューアル以前よりも開発への依頼がとても増えました。開発を円滑に進めるために、フロー整備を行い、世の中の変化やユーザーのニーズに素早く応える体制を構築しました。その結果、サービスの改善速度が上がったり、情報メディアなどのサブサービスを複数立ち上げるなどの効果が表れてきました。
 クラウドに環境を移行した最大の目的は“ユーザーが求める機能やサービスを利用することによって得られる利点を、より多く、早く届けられる体制を実現すること”ですが、同時にクラウド自体も変化に富んだシステムであることから、当社サービスに携わる関係者一同が日々その目標に向かって現在も業務に励んでいます。

 

―当時、クラウド環境への移行のハードルは大きかったのでしょうか?

 当時は大きなハードルがありました。開発言語がJavaからC#に変わったことで、既存のシステムを開発していたチームとは別にクラウド環境での開発を進めるためのチームを作って、元のシステムと同じように動作するサービスを一から作り直すようなイメージです。また、元のシステムを開発していた開発者もクラウド移行後に対応ができるよう、同時進行で勉強をし直していました。
 今でこそ、新規でサービスを作る際にはクラウドでの開発が一般的となっていますが、当時は開発・運用環境にクラウドを選択する企業はそこまで多くなく、クラウドシステム自体も安定していない状態でした。そのため、実装を行ってみて初めて分かる不具合などもあったので、それを解消するトラブルシューティングの実績も多く溜まっていきました。『ルナルナ』をクラウド環境に移行したことによるトラブルシューティングの実績は、他社が持っていない開発における強みとなる部分だと考えています。
 大きなハードルはありつつも、当社では『ルナルナ』に限らずあらゆるサービスでユーザーのニーズに応えるために最適な開発環境を模索し、積極的にチャレンジする文化が根付いていたことも、まだ世の中で実績が少ないクラウド環境への移行に舵を切る後押しになったと思います。
 サービスにあまり変更を加えずオンプレミスのシステムで確実に運用していくという選択肢もある中、当時『ルナルナ』はスピーディに開発を進めて行くことでユーザーに価値を提供していく道を選びました。ただし、多くのユーザーに利用されている健康についての大切な情報をお預かりするサービスということもあり、リニューアル後2年間程度は安定したオンプレミスの環境も平行利用しつつ、何段階かに分けてクラウド環境に完全移行する形を取りました。

 

―クラウド環境へ移行したことによる利点は?

 『ルナルナ』をはじめとして、当社のB to Cサービスの多くがユーザーに価値を素早く届けることを目的にクラウドでの開発・運用体制を構築してきましたが、この知見は当社が取引先企業の開発を担う際にも生かされています。
 オンプレミスで運営しているサービスをクラウド環境に移行する際は、複数あるクラウドシステムのうちどのクラウド環境を選択するかという点が悩むポイントになると思います。また、現在のサービスの機能要件を満たせるのかを見極めるために時間がかかります。
 当社では『ルナルナ』や『music.jp』等、様々な分野の200を超えるサービスを運営しており、各々の目的に合わせたクラウド環境を選択し、開発を行ってきました。そのため新しくサービスを始める際にも、サービスをオンプレミスからクラウド環境に移行する際にも、知見を基に最適な環境を選択し、開発を進めることができます。

『ルナルナ』の大規模トランザクション処理技術

―『ルナルナ』のような多くのユーザーを抱えるサービスならではの運用の難しさや工夫はありますか?

 現在アプリダウンロード数が1,500万を超える『ルナルナ』だからこそのトラブルが大小問わず発生しましたが、そのたびにトラブルシューティングを行い、再び発生することがないよう対策を行うサイクルを繰り返していくことが、安定したサービスの提供に繋がっています。
 例えばクラウドに移行後、一部のシステムでは秒間に1000以上のリクエストを超えるなどしてアクセスが集中してサービスが利用しづらい状態になってしまうというトラブルを何度か繰り返している時期がありました。要因として、ユーザーがサービスにアクセスすることで発生する一連の動作データ(トランザクション)がサービスの機能が定期的に拡張されていくなかで、当初の設計では問題がなかった部分が総合的に性能不足になってしまったことなどが挙げられます。その課題に対しては定期的に調整と改善を行ってきました。
 具体的な改善策として、まずはピークタイムにどれくらいのユーザーがアクセスしているのかや、どのような操作パターンの比率が多いのか、といったデータを過去にさかのぼって調査を行えるようにしました。これには、株式会社はてなの「Mackerel」というサービスを活用しています。
 これによって直近のアクセス傾向や今後の予測をもとに瞬間的にどの程度のデータを処理しなければならないのかを算出し、その値をもとにサービスに意図的にデータ処理の負荷をかける「負荷テスト」を繰り返し実施しています今後もあらゆる状況を想定したシステムを構築することを目標にこの取り組みを現在もすすめています。
 クラウド環境の特性上、サービスの機能は複数のシステムで構成するかたちを取ることが多いため、一ヶ所のサーバーにアクセスが集中するのではなく、役割ごとに複数のサーバーが存在するなかで、そのすべてが連携してパフォーマンスを発揮できるようにするのが難しいところでもありました。
 先ほどもお話しましたが、これまで多くのユーザーを抱えるサービスを運営し、トラブルシューティングを繰り返し、知見を溜めてきたことこそ当社の強みであり、安定したサービス提供を実現するための重要なポイントだと思います。

サービスの幅を広げ更なる価値の提供へ

―『ルナルナ』の開発について今後の展望を教えてください。

 これまでB to Cのサービスとして成長してきた『ルナルナ』ですが、現在では医療機関で医師にルナルナで記録した基礎体温や月経周期などの健康情報を提示できる連携システム「ルナルナ メディコ」が800以上の医療機関に導入されています。「ルナルナ メディコ」を始めとした医療機関向けのシステムは、コンシューマー向けサービスの設計とは違う性質を持っているため、開発者にとっては新たな挑戦です。今はシステムを導入している医療機関の医師にフィードバックをいただきながら、医師にとっての使いやすさと利便性の向上を目指しています。
 また、サービスが保有するユーザーの膨大なデータを様々な機関と繋ぎ、利活用することでユーザーに価値を還元していけるようにデータをセキュアかつスムーズに繋ぐシステムを開発していくことも今後の課題であると認識しています。
 『ルナルナ』は、ユーザーのライフステージや悩みに合わせて女性の一生をサポートするサービスとして、今後もユーザーにより早く、価値を提供できるよう努めていきます。

 

 

※自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用する体制を指す。

UXの理想を形にする、エムティーアイのサービス開発

 エムティーアイではサービスを通じてユーザーにどのような体験をしてもらうかを重視しており、全社横断的にユーザーがサービスの利用を通じて得られる体験や価値であるユーザーエクスペリエンス(UX)や、ユーザーがサービスを利用する際の接点であるユーザーインターフェース(UI)の設計を専門に担当するメンバーが多数在籍しています。  またスマートフォン向けサービスを中心に、200を超える自社サービスのUI/UXデザインのノウハウを蓄積しており、そのノウハウを基にパートナー企業と共にサービス開発を行う際にも、企画の初期段階からUI/UXのデザイナーが参画してサポートしています。  今回は自社サービス、パートナー企業のサービス開発ともに多数のUXデザインに携わってきたUXデザイナーの内山美穂に、当社のUXデザイン文化、そして当社だからこそ提供できる価値について聞きました。   Profile 内山 美穂 +Design部 2009年入社。デコメールやソーシャルゲームプラットフォームなどエンターテインメント関連サービスの企画・運用を経て、2014年より当社サービスのUXデザインを全社横断的に担当。 近年は自社サービスのUX設計ノウハウをもとにパートナー企業のサービス企画・開発にも携わる。 全サービスでUXデザインを当たり前に行う文化 ―エムティーアイでのUXデザインの歴史について教えてください  2008年に日本で初めてiPhone※1が発売され、2010年代前半の世の中はフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進んでいました。1996年から携帯電話向けコンテンツを中心にサービス提供してきた当社も、フィーチャーフォンのサービスをスマートフォンサービスに移行し、強化していました。  私はiPhoneが発売された翌年の2009年に入社し、フィーチャーフォンでよく使われていたデコメ※2サービスやソーシャルゲームプラットフォームの企画・運用などを担当していました。  サービスがスマートフォン向けに変わっていく中で、ユーザーにサービスを知ってもらう経路や提供すべき価値も変化していき、これまで以上に顧客視点を重視したサービス作りが必要となってきました。  そのような中、2014年に全社横断でサービスのUXを設計する専属チームの一員となりました。  スマートフォンの普及によりサービス間の競争が激しくなる中、当社のサービスを選んでもらうためには、ユーザーを中心に考え、ユーザーにどのような体験をしてもらうかを設計した上で、付加価値を提供することがこれまで以上に重要になりました。  そのため、新規サービスだけでなく『ルナルナ』や『music.jp』のようなフィーチャーフォン時代から多くのユーザーに利用されている長寿サービスも含め、全サービスでUXデザインを取り入れることになりました。 UXデザイン設計ミーティングの様子  取り入れ始めた当初は、UXデザインを積極的に取り入れる意思はありつつも、何をやっていいかわからない状態で、「まずはユーザーインタビューをしてみよう」「(UXの手法のうちの一つに焦点を当てて)ワークショップをやってみよう」など個々の手法を点で取り入れるに留まっていました。  まだ社内でもUXについて精通している人が少ない中で、実際のサービス企画に取り入れようとすると、効果が未知数のUXデザインに予算や工数をかけることをためらってしまう例がありました。例えば、ユーザーインタビューに力を入れようとすると1カ月から2カ月かかることもあり、それだけの工数をかけて「どのような結果が得られるのか」「サービスの向上や収益につながるのか」など、社内でなかなか理解が得られないこともありました。  しかし実績が溜まっていくと、「あのサービスにUXをもとに新機能を追加したら、こんな実績が出たらしい」と社内で話題になるようになり、UXデザインはサービス企画においてとても重要な役割を持っているという認識が広がりました。  そして当社では、UXデザインを「した方が良いもの」という認識から「必ずするもの」という文化に変わっていきました。 エムティーアイが実現するUXデザインとサービス開発 ―パートナー企業とのサービス開発におけるUXデザインや体制について教えてください  当社では全社的にUXデザインを取り入れたサービス作りが浸透し、実績やノウハウも溜まっているため、近年それを生かしパートナー企業に対してサービス企画・開発を提供することが増えてきました。私もその際にUXデザイナーとしてパートナー企業のサービス作りに携わる機会も多くなってきました。  パートナー企業のサービス作りに参画すると、当社だからこそ提供できる価値が多々あると実感しています。  その一つに、当社はサービス企画の上流工程から、開発、実装までを一貫して行える環境があります。例えユーザー視点に立った素晴らしいUXデザインができたとしても、それがUIやビジュアルに落とし込まれ、サービスに実装されてユーザーのもとに届く形にならなければ意味がありません。  当社ではサービスの企画段階から企画者・デザイナー・開発者が参画するため、各担当がユーザーのニーズや、サービスを通じて抱いてもらいたい感情などのコンテキストまでを理解し、共通認識を持った上で制作を進行することができます。  そのため、企画者やデザイナーから依頼があった内容を開発者がそのまま実装するということはなく、「こういう体験をしてもらうには、画面上でこう見せた方が良い」など、開発者からも積極的に声が上がります。  二つ目の特徴として、オンショア・オフショアで協力してサービス開発を進めるハイブリッド体制が構築できているという点が挙げられます。  当社では社内だけでなくオフショアでも開発を行っていますが、海外の開発拠点も国内と同様に、ペルソナなどのUXに関する資料を翻訳して共有し、議論を重ねながらユーザー像の共通認識を持って開発ができるようにしています。 オフショア開発拠点のメンバーとのUXデザイン会議の様子  日本と海外では環境や文化が違うこともあり、ただ説明をされただけで背景まで理解することは簡単ではありません。例えば、ベトナムで天気情報のサービスを開発する場合、地震や台風など日本に特有の自然災害についての理解が必要です。  また、他国では外出をためらうほどの気象であっても、なんとか出勤しようとする日本人の行動や心理を説明しなければ、サービスに実装する警報機能が日本のユーザーにとってどれほど重要なものか理解ができないことがあります。  今まで“なんとなく”で伝わっていたことも、今後様々な拠点で仕事を進めて行く場合、UXの共通認識を持つことがより重要になってくると思います。 オフショア開発時のUXデザイン資料イメージ    また、長くサービスを運営していく中で新しいメンバーが増えることもあると思いますが、全員がUXを理解できるようにしておくことも重要です。  例えば『ルナルナ』は、女性がメインターゲットのため運営には女性が多いのですが、新しく男性が加わることもあります。その場合、『ルナルナ』のサービス内容を知ってはいても、なかなか自分ごと化しにくい面があります。  愛や熱意があるだけではユーザーニーズに基づいたサービスを作ることができないので、より一層UXを理解しておく必要があります。  体調管理や妊活を考える女性のための無料基礎体温記録アプリ『ルナルナ...

 エムティーアイではサービスを通じてユーザーにどのような体験をしてもらうかを重視しており、全社横断的にユーザーがサービスの利用を通じて得られる体験や価値であるユーザーエクスペリエンス(UX)や、ユーザーがサービスを利用する際の接点であるユーザーインターフェース(UI)の設計を専門に担当するメンバーが多数在籍しています。
 またスマートフォン向けサービスを中心に、200を超える自社サービスのUI/UXデザインのノウハウを蓄積しており、そのノウハウを基にパートナー企業と共にサービス開発を行う際にも、企画の初期段階からUI/UXのデザイナーが参画してサポートしています。
 今回は自社サービス、パートナー企業のサービス開発ともに多数のUXデザインに携わってきたUXデザイナーの内山美穂に、当社のUXデザイン文化、そして当社だからこそ提供できる価値について聞きました。

 

Profile

内山 美穂

+Design

2009年入社。デコメールやソーシャルゲームプラットフォームなどエンターテインメント関連サービスの企画・運用を経て、2014年より当社サービスのUXデザインを全社横断的に担当。

近年は自社サービスのUX設計ノウハウをもとにパートナー企業のサービス企画・開発にも携わる。

全サービスでUXデザインを当たり前に行う文化

―エムティーアイでのUXデザインの歴史について教えてください

 2008年に日本で初めてiPhone※1が発売され、2010年代前半の世の中はフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進んでいました。1996年から携帯電話向けコンテンツを中心にサービス提供してきた当社も、フィーチャーフォンのサービスをスマートフォンサービスに移行し、強化していました。
 私はiPhoneが発売された翌年の2009年に入社し、フィーチャーフォンでよく使われていたデコメ2サービスやソーシャルゲームプラットフォームの企画・運用などを担当していました。
 サービスがスマートフォン向けに変わっていく中で、ユーザーにサービスを知ってもらう経路や提供すべき価値も変化していき、これまで以上に顧客視点を重視したサービス作りが必要となってきました。
 そのような中、2014年に全社横断でサービスのUXを設計する専属チームの一員となりました。
 スマートフォンの普及によりサービス間の競争が激しくなる中、当社のサービスを選んでもらうためには、ユーザーを中心に考え、ユーザーにどのような体験をしてもらうかを設計した上で、付加価値を提供することがこれまで以上に重要になりました。
 そのため、新規サービスだけでなく『ルナルナ』や『music.jp』のようなフィーチャーフォン時代から多くのユーザーに利用されている長寿サービスも含め、全サービスでUXデザインを取り入れることになりました。

UXデザイン設計ミーティングの様子

 取り入れ始めた当初は、UXデザインを積極的に取り入れる意思はありつつも、何をやっていいかわからない状態で、「まずはユーザーインタビューをしてみよう」「(UXの手法のうちの一つに焦点を当てて)ワークショップをやってみよう」など個々の手法を点で取り入れるに留まっていました。
 まだ社内でもUXについて精通している人が少ない中で、実際のサービス企画に取り入れようとすると、効果が未知数のUXデザインに予算や工数をかけることをためらってしまう例がありました。例えば、ユーザーインタビューに力を入れようとすると1カ月から2カ月かかることもあり、それだけの工数をかけて「どのような結果が得られるのか」「サービスの向上や収益につながるのか」など、社内でなかなか理解が得られないこともありました。

 しかし実績が溜まっていくと、「あのサービスにUXをもとに新機能を追加したら、こんな実績が出たらしい」と社内で話題になるようになり、UXデザインはサービス企画においてとても重要な役割を持っているという認識が広がりました。
 そして当社では、UXデザインを「した方が良いもの」という認識から「必ずするもの」という文化に変わっていきました。

エムティーアイが実現するUXデザインとサービス開発

―パートナー企業とのサービス開発におけるUXデザインや体制について教えてください

 当社では全社的にUXデザインを取り入れたサービス作りが浸透し、実績やノウハウも溜まっているため、近年それを生かしパートナー企業に対してサービス企画・開発を提供することが増えてきました。私もその際にUXデザイナーとしてパートナー企業のサービス作りに携わる機会も多くなってきました。
 パートナー企業のサービス作りに参画すると、当社だからこそ提供できる価値が多々あると実感しています。

 その一つに、当社はサービス企画の上流工程から、開発、実装までを一貫して行える環境があります。例えユーザー視点に立った素晴らしいUXデザインができたとしても、それがUIやビジュアルに落とし込まれ、サービスに実装されてユーザーのもとに届く形にならなければ意味がありません。
 当社ではサービスの企画段階から企画者・デザイナー・開発者が参画するため、各担当がユーザーのニーズや、サービスを通じて抱いてもらいたい感情などのコンテキストまでを理解し、共通認識を持った上で制作を進行することができます。
 そのため、企画者やデザイナーから依頼があった内容を開発者がそのまま実装するということはなく、「こういう体験をしてもらうには、画面上でこう見せた方が良い」など、開発者からも積極的に声が上がります。

 二つ目の特徴として、オンショア・オフショアで協力してサービス開発を進めるハイブリッド体制が構築できているという点が挙げられます。
 当社では社内だけでなくオフショアでも開発を行っていますが、海外の開発拠点も国内と同様に、ペルソナなどのUXに関する資料を翻訳して共有し、議論を重ねながらユーザー像の共通認識を持って開発ができるようにしています。

オフショア開発拠点のメンバーとのUXデザイン会議の様子

 日本と海外では環境や文化が違うこともあり、ただ説明をされただけで背景まで理解することは簡単ではありません。例えば、ベトナムで天気情報のサービスを開発する場合、地震や台風など日本に特有の自然災害についての理解が必要です。
 また、他国では外出をためらうほどの気象であっても、なんとか出勤しようとする日本人の行動や心理を説明しなければ、サービスに実装する警報機能が日本のユーザーにとってどれほど重要なものか理解ができないことがあります。
 今まで“なんとなく”で伝わっていたことも、今後様々な拠点で仕事を進めて行く場合、UXの共通認識を持つことがより重要になってくると思います。

オフショア開発時のUXデザイン資料イメージ

 

 また、長くサービスを運営していく中で新しいメンバーが増えることもあると思いますが、全員がUXを理解できるようにしておくことも重要です。
 例えば『ルナルナ』は、女性がメインターゲットのため運営には女性が多いのですが、新しく男性が加わることもあります。その場合、『ルナルナ』のサービス内容を知ってはいても、なかなか自分ごと化しにくい面があります。
 愛や熱意があるだけではユーザーニーズに基づいたサービスを作ることができないので、より一層UXを理解しておく必要があります。

 体調管理や妊活を考える女性のための無料基礎体温記録アプリ『ルナルナ 体温ノート』では、不妊治療の記録・管理を支援する「治療サポートコース」機能を正式にリリースする前、不妊治療をされている様々な方に2カ月ほどプロトタイプの使用をお願いし、フィードバックをいただきながら開発を進めました。
 サービスを使った感想を日記などに記載してもらい、どのタイミングで使うモチベーションが下がってしまうのか、逆に、どのタイミングで役立ったのかを細かくチェックすることで、自分たちが良かれと思って実装した機能が最適解でなかったことに気づけたり、新たなニーズを発見でき、より自信をもった状態で世の中に送り出すことができました。
 協力いただいた方々に改善後のサービスを使用してもらい、「これはありがたい」という言葉をいただくこともできました。

 このように、当社ではサービスを正式にリリースする前からUXの検証、改善を行い、サービス開始後も継続してユーザーの声を聞き、改善を積み重ねていく文化があります。
 これまで何件かパートナー企業が提供しているサービスを実際に使用し、改善のポイントをお伝えする「コンテンツクオリティチェック」をする機会がありましたが、担当の方からは「ユーザー視点を大切にし、スマートフォンサービスに強みを持つエムティーアイだからこその指摘で、自分たちだけでは改善点を見つけられなかった」と感謝していただけました。

 

―UXデザインはどのように行われるのでしょうか?

 UXデザインはサービス作りにおいても運営においてもとても大切なものですが、ノウハウがなく他社にコンサルティングを依頼しようとするとかなり高額になりがちです。それにより取り入れるハードルが高くなってしまうという声を聞くこともあります。

UXデザインミーティングを先導する内山

 初めてUXデザインを取り入れる場合には、全工程を一貫して行うことが理想的ではありますが、「サービスの利用率を上げたいが何から手を付ければ良いかわからない」といったざっくりとした相談や、「予算や期間に限りがあるが、どこまでできるか?」など制限がある依頼でも工程の一部を切り出して提供することも可能です。

 UXデザインに関する情報はインターネット上や書籍などからも学ぶことはできますが、いざサービスに適用しようと思ってもうまく進まないことが多いと聞きます。体験を通じたノウハウを身につけるためにも、初めはUXに精通したファシリテータのもとで体系的に取り組むことが大切だと考えています。

 

UXデザインを“理想”で終わらせないエムティーアイのサービス企画・開発

―パートナー企業に、エムティーアイだからこそ提供できる価値とは?

 当社には社内の多くのサービスに関わり経験を積んだUXデザインに精通するメンバーが多数在籍しています。
 UXデザイナーが先導し、企画者や開発者を含むプロジェクトメンバーと共に設計した体験をもとに、サービスのワイヤーフレームを組み立てるUIデザイナーと、ビジュアルに落とし込むビジュアルデザイナーがおり、その3者が連携して初めて実現します。
 この連携は、数々のUXデザイン実績があるエムティーアイの強みであると言えます。
 また、徹底的にユーザー視点に立っていても、そのサービスがビジネスとして成り立たなければ運営は立ち行かないので、そこも踏まえたサービス作りが行えるのも特徴です。
 当社の企画者はマーケティングやビジネス観点を持っており、そういったメンバーがUXデザインを日々実践しています。
 営業担当にもUXデザインの工程に参加してもらい、サービスを顧客に売る際に心配な部分などの意見をサービス作りに反映しています。
 近年、他社のサービス開発のパートナーとなることや、デジタル技術を利用して事業の変革を実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援を行うことが増えてきています。
 支援をする際には、当社の企画者、開発者、デザイナーがパートナー企業のみなさまとタッグを組んで取り組みますが、その際に私自身もUXデザイナーとして参画する機会を多くいただいています。
 今後もUXデザイナーとしてユーザーにとってより良い体験を設計し、自社・他社問わず多くのユーザーに喜ばれ、ユーザーの人生の友となるようなサービスを提供していきたいです。

※1 「iPhone」は、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※2「デコメ」は、NTTドコモの登録商標です。

『ルナルナ』が日本受精着床学会にてランチョンセミナーを行いました!

ライフステージや悩みにあわせて女性の一生をサポートする健康情報サービス『ルナルナ』は、8月1日(木)に開催された「第37回...

ライフステージや悩みにあわせて女性の一生をサポートする健康情報サービス『ルナルナ』は、8月1日(木)に開催された第37回 日本受精着床学会総会・学術講演会において、ランチョンセミナー「生殖医療と患者支援の最前線」をナノキャリア株式会社(千葉県柏市、代表取締役社長:中冨一郎、以下「ナノキャリア」)と共催しました。

セミナーの座長は、「治療サポートコース(『ルナルナ体温ノート』アプリ内課金)」の監修医でもある山王病院の堤治院長が務め、会場には医師、培養士、看護師を中心に約200名が集い、最新の不妊治療の事例や患者側の課題に耳を傾けていました。

学会チラシ

■ 不妊治療患者は年々増加…。不妊治療のサポートのためにできること

日本産科婦人科学会の調査によると、国内では2016年に体外受精によって5万人以上の子どもが誕生し、総出生数から考えると18人に1人の割合となります。※1この数字は年々増加傾向にあり、晩婚化や晩産化を背景に不妊治療を受ける人が増加していると考えられています。また、諸外国と比較しても体外受精の実施件数は世界最多※2です。

今回の学術講演会では「Reproductive Diversity:生殖の多様性を探求する」をメインテーマに開催され、『ルナルナ』はナノキャリアと、「生殖医療と患者支援の最前線」をテーマにしたランチョンセミナーを共催し、最新の不妊治療と、アプリでサポートする不妊治療の可能性と展望についての講演を実施しました。

 

■ 「不妊治療×アプリ」でもっと医師と患者の距離を縮めたい

kawaiセミナー前半は、医療法人財団順和会山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター副部長の久須美真紀先生が登壇し、「難治性不妊に対するPRP療法の実際と成果」についての講演を行い、後半に、医療法人鉄蕉会 亀田IVFクリニック幕張の川井清考院長が「不妊治療に特化した患者向けアプリの開発とその実際」のテーマで登壇しました。

亀田IVFクリニック幕張では、『ルナルナ』で記録した情報を患者の同意のもと提携病院に提示できるシステムルナルナ メディコを導入しています。川井先生からは、スマートフォンでの月経周期や排卵日予測、基礎体温の記録・管理が患者にとって身近になってきている現状が説明され、今後は医療者側もこのようなアプリを上手く活用することで、患者個人のニーズや状況に寄り添った治療を提供できる可能性が語られ、多くの参加者がうなずいている様子が見られました。

講演中は、不妊治療の記録・管理支援に特化したアプリ、「治療サポートコース(『ルナルナ体温ノート』アプリ内課金)」の開発に伴い実施した意識調査※3も紹介され、不妊治療の内容を記録している患者の方が、治療に関して納得度および理解度が高いことや、治療の記録・管理を行っていない患者の約6割が潜在的に治療の記録をしたいというニーズはあるものの、手間や複雑さがハードルになっている現状が示されました。

また、不妊治療患者の約9割は、治療について理解するためにインターネットからの情報収集を行っているという調査結果に対し、川井先生からは、婦人科医療になじみのない患者がその中から正しい情報を選択することは容易ではなく、場合によっては誤った情報が原因で医師による患者指導が困難になる可能性が提示されました。だからこそ、医師監修のアプリなどで正しい情報を配信することで、治療に関する患者のリテラシーを高めていくことが重要だと、患者側と医療者側の視点を交えながら話し、会場の共感を呼んでいました。

 

■ 参加者からは「新しい発見」の声。『ルナルナ』はさらなる医療機関との連携を目指して…!

ルナうさランチョンセミナーのアンケートでは、『ルナルナ』のアプリで不妊治療をサポートできること対して肯定的な意見も多く、「アプリによって、患者の治療への理解は深まると感じましたか」という質問に対しては、「とても感じた」「感じた」を合わせると約9割の参加者がその可能性を感じてくれているという嬉しい結果となりました。また、自由回答では、アプリによって不妊治療をサポートする取り組みが行われていたことに驚く声が多く、本セミナーが新しい発見につながったという意見が寄せられました。

 

「全ての女性の幸せの実現に貢献する」をミッションとして掲げている『ルナルナ』は、今回のランチョンセミナーで寄せられた医療現場の声や、得た知見をもとに、今後より医療者と患者双方の負担を軽減し、一人でも多くの人の不妊治療をサポートできるよう「治療サポートコース」のサービス改善を図ります。また、「ルナルナ メディコ」とも連携し、より充実した診察・診療時間の実現や、個人の状況に寄り添った不妊治療の一助となることを目指します。

 

 

 

 

※1:日本産科婦人科学会 平成29年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告より

※2:国際生殖補助医療監視委員会〈ICMART〉の2016年の調査より

※3:『ルナルナ』によるアンケート 調査対象:不妊治療の経験がある20~49歳の女性1,101名 調査実施期間:2019年6月14日~19日

 

 

 

★ランチョンセミナーの詳細はこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000589.000002943.html

“制度を使って何を実現するか?” 「育休取得したパパ社員」「取らずに支えるパパ社員」それぞれの家事・育児スタイル

 厚生労働省の調査※で育児休業取得者の割合は、女性が82.2%、男性は6.16%と男女間で数値に大きな開きがあります。また、育休を取得した男性の取得日数は「5日未満」が最も多く、育児休業取得者の約8割が1カ月未満の取得にとどまっており、育児の負担が主に女性に偏っていることが伺えます。 育児休業制度を取得した男性社員を紹介する企画の第二回目は、第一子の誕生にあたり1カ月の育児休業を取得した社員のインタビューとともに、育休は取得しなかったものの家事・育児を精力的に担っている男性社員たちの対談を通じて、育休取得にとどまらず夫婦で家事・育児負担の分散を実現しているケースを紹介します。 ※出典:平成30年度雇用均等基本調査(速報版)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html   Profile 育休取得者:大西浩二 2011年に中途入社。『music.jp』のシステムやフィンテック関連の開発を担い、現在はスマートコンテンツ事業部にてヘルスケア関連の開発を中心に担当。約1年半の不妊治療を経て2019年3月に待望の第一子の女児が生まれ、1カ月の育休を取得。 生まれた後の生活をイメージして育休取得期間は1カ月に 育休取得を検討した時期と、取得期間の決め方について教えてください  妻の妊娠がわかってから育休の取得を検討しはじめました。当初、どれくらいの期間取れば良いのか見当がつかなかったのですが、出産後の生活を妻とイメージしながら取得期間を考えていました。 また、夜に子どもが寝てくれず、睡眠時間が確保できないことを考えると不安がありました。その状況で私が仕事に行き、妻がワンオペで家事・育児をするのは、精神的にも体力的にも難しいだろうと夫婦で共通の認識を持っていたので「どれくらいの月齢からまとまった時間寝てくれるか」を調べました。2カ月頃から子どもが寝る時間が長くなってくる場合が多いと分かったので、取得期間は1カ月検診の頃までと決めました。 育休期間は状況に応じて延長ができると聞いていたので、1カ月取ってみて、復帰が難しければ延長を検討したいと事前にチームメンバーにも共有していました。   育休取得はいつ頃打診しましたか?  出産予定日の3カ月~4カ月前に上長に打診しました。 私たち夫婦は不妊治療をしており、治療のためにお休みすることがありました。何度も休むと「体調不良なのか?」とチームメンバーに心配をかけてしまうと思い、治療のために休んでいることは伝えていました。 そのため、安定期に入ってすぐにチームメンバーには妻が妊娠中であること伝えました。   “不安は全くなし!”...

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 厚生労働省の調査※で育児休業取得者の割合は、女性が82.2%、男性は6.16%と男女間で数値に大きな開きがあります。また、育休を取得した男性の取得日数は「5日未満」が最も多く、育児休業取得者の約8割が1カ月未満の取得にとどまっており、育児の負担が主に女性に偏っていることが伺えます。
 育児休業制度を取得した男性社員を紹介する企画の第二回目は、第一子の誕生にあたり1カ月の育児休業を取得した社員のインタビューとともに、育休は取得しなかったものの家事・育児を精力的に担っている男性社員たちの対談を通じて、育休取得にとどまらず夫婦で家事・育児負担の分散を実現しているケースを紹介します。

※出典:平成30年度雇用均等基本調査(速報版)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html

 

Profile

育休取得者:大西浩二

2011年に中途入社。『music.jp』のシステムやフィンテック関連の開発を担い、現在はスマートコンテンツ事業部にてヘルスケア関連の開発を中心に担当。
約1年半の不妊治療を経て2019年3月に待望の第一子の女児が生まれ、1カ月の育休を取得。

生まれた後の生活をイメージして育休取得期間は1カ月に

育休取得を検討した時期と、取得期間の決め方について教えてください

 妻の妊娠がわかってから育休の取得を検討しはじめました。当初、どれくらいの期間取れば良いのか見当がつかなかったのですが、出産後の生活を妻とイメージしながら取得期間を考えていました。
 また、夜に子どもが寝てくれず、睡眠時間が確保できないことを考えると不安がありました。その状況で私が仕事に行き、妻がワンオペで家事・育児をするのは、精神的にも体力的にも難しいだろうと夫婦で共通の認識を持っていたので「どれくらいの月齢からまとまった時間寝てくれるか」を調べました。2カ月頃から子どもが寝る時間が長くなってくる場合が多いと分かったので、取得期間は1カ月検診の頃までと決めました。
 育休期間は状況に応じて延長ができると聞いていたので、1カ月取ってみて、復帰が難しければ延長を検討したいと事前にチームメンバーにも共有していました。

 

育休取得はいつ頃打診しましたか?

 出産予定日の3カ月~4カ月前に上長に打診しました。
 私たち夫婦は不妊治療をしており、治療のためにお休みすることがありました。何度も休むと「体調不良なのか?」とチームメンバーに心配をかけてしまうと思い、治療のために休んでいることは伝えていました。
 そのため、安定期に入ってすぐにチームメンバーには妻が妊娠中であること伝えました。

 

“不安は全くなし!” チームの強力なサポートに感謝

育休取得にあたり、不安に思うことはありましたか?

 私自身、不安は全くと言っていいほどありませんでした。
 育休を取得したいと上長に申し出た際はとても応援してくれ、数カ月前から業務の負荷を調整してくれました。そのおかげで、育休に入る約1カ月前には引継ぎが発生するような業務はほぼ手元にない状態だったのです。
 またチームのメンバー全員から「育休取った方が良いよ!」と後押しされ、国内外への出張もすべて引き受けてくれるほど強力にサポートしてくれました。おかげさまで、出産間近の妻をサポートすることもできました。

  しかし、妻は「生まれてくる子どもをうまく育てていけるのか?」という漠然とした不安があったようです。育休取得するにあたり、妻には「不安に思うことはお互いにきちんと話をしよう」と伝えました。
 不安や要望は、きちんと相手に伝えて都度対応していこうと夫婦で決めて育休をスタートさせたので、育休取得前よりも子どもが生まれてからの方が良く話し合うようになりましたね。

 

チームメンバーから受けて嬉しかった言葉やサポートはありますか?

 育休中に、チームからサプライズでプレゼントが届き、とても嬉しかったです。私の育休中の様子や、プレゼントされたよだれかけを着けた子どもの写真をメールで送るなど、休暇中もコミュニケーションを取っていたので、復帰後の不安もありませんでした。
 チーム全体として育休取得をサポートしてもらえる風土があり、大変ありがたかったです。

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夫婦独自の育児タイムスケジュール「早番」「夜勤」制が誕生!

育休中はどのように過ごしていましたか?

 育休中に「早番」と「夜勤」のサイクルが生まれ、2つタイムスケジュールができました。笑

 「早番」の人は夜8時に寝て、朝3時に起き、起きて子どものお世話をしていた「夜勤」の人とバトンタッチします。「夜勤」の人は朝3時から9時頃まで寝ます。

・「早番」の日のスケジュール

 

AM3:00 起床 ミルクを飲ませる

寝かしつけ

AM6:00 ミルクを飲ませる

寝かしつけ

AM8:30~

朝ご飯をつくる 妻が起きてくる

AM9:00

夫婦で朝ご飯を食べる ミルクを飲ませる

家事全般をこなす

PM12:00

お昼ご飯をつくり、夫婦で食べる

PM12:00~PM3:00

家事 買い物

PM4:00

沐浴

夕食の準備

PM6:00

夕食

夫婦交代でお風呂に入る

PM8:00~AM3:00

就寝

 

「早番」「夜勤」のタイムスケジュールはどのように決まっていったのでしょうか?

 話し合いなどはとくにせず、家事・育児をやっていくなかで自然と「早番」と「夜勤」のタイムスケジュールが作られていきました。
 妻が、子どものミルク、睡眠、排せつ、お風呂などを記録したいというのでアプリでの管理を取り入れており、記録することでミルクを飲む時間や、寝るタイミングが徐々につかめてきた結果、自然とサイクルが決まりました。
 「早番」「夜勤」の交代をするときには記録したデータを見ながら引継ぎをしていましたよ!笑 データをもとに、次のミルクの時間や子どもの体調にも注意を向けられました。
 また、そうしているうちに、当初の見通し通り1カ月を過ぎたあたりからまとまった時間寝てくれるようになっていることに気が付きました。そのような変化を知ることができたのも記録を取っていて良かったことの一つです。

 

奥様と協力しスムーズに家事・育児をされていたようですが、秘訣を教えてください。

 育休に入るにあたり話し合っていた「不満や不安を伝える」ことをお互いに意識して実行していたのが良かったと思います。不満や不安を隠したまま溜め込むのではなく伝えることで、これからどうするべきか?と前向きに話ができました。

 

奥様と家事・育児をどのように分担していたのでしょうか?

 育休に入る前には育休中の家事・育児の分担を決めていませんでしたが、育休に入ってすぐ妻から「家事全般を担当してほしい」と要望があり、お互いの役割が決まりました。妻にこだわりがある家事を除き、ほぼすべての家事を私が担当していました。
 妻は出産後の身体へのダメージが大きかったことから、産後すぐは身体の不調を訴えていたので、自分が家事を担当し、妻には娘を見る役割を担ってもらいました。
 育休前まではほとんど家事に参加できておらず、家事の内容やその方法もわからなかったので、妻にやり方を書いてもらった付箋を壁に貼り付け、タスク管理の要領で家事を行っていました。慣れてくると、なるべく時短でできるよう考えて実行していました。

 

一番大変だった「料理」は“ある意味ソフトウェア開発”!?

育休を取ってみて意識が変わったことはありますか?

 育休を経験して、意識はかなり変わりましたね。改めて家事を担当してみると「こんなにやることがあったのか!」と驚きました。
 その中でも「料理」がとても辛く、料理を作ることはある意味ソフトウェア開発のようだなと感じました。
 自分の持っているスキルや知識と、冷蔵庫内のリソース(材料)、スーパーからのお惣菜などの外注品…すべて組み合わせて献立を考えて、さらに成果物である料理の品質をどう上げていくのか考える。
 料理を1品作るのであれば比較的簡単にできると思いますが、すべてを考慮して食事の献立を考えるのはとても大変でした。この大変さに気づいた時、いつもたくさんの料理を作ってくれていた妻への感謝はひとしおでした。笑
 また、料理は苦手ですが、育児でなかなか外出できない妻が少しでも気分転換でき、喜んでくれたら…という思いで初めてお菓子作りにも挑戦し、チーズケーキを作りました。育休から復帰した今も継続して朝ご飯は私が作るようになったのですが、育休前では考えられませんでした。今日も作ってきましたよ!

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写真:育休中に作ったチーズケーキ

 

仕事に復帰した今、育休を振り返ってどんな思いがありますか?

 育休を取って本当に良かったですし、他の人にも強くお勧めしたいです。
 今は、朝の子どもが起きているときくらいしか娘の成長を見られるときがありません。「首が座った」「おしゃぶりができるようになった」など成長をその場で見ることができないのが寂しくて…。育休中は毎日娘の成長を妻と一緒に共有できたのがとても良かったです。
 また、育休を取ったからこそ妻と同じタイミングで育児のスタートラインに立ち、娘のお世話は不安なくできるようになりました。そのおかげで、今は娘と二人きりでのお出かけもできますし、妻が一人で出かける際にも自信をもって「いってらっしゃい」と送り出せます。
 もし妻主導で育児が進み、何もかも聞かないとわからない状態になっていたら、妻にも信用されなくなってしまうと思います。そういう意味でも育休を取って良かったと思っています。
 育休期間は1カ月でいいだろうと思っていましたが実際に1カ月で復帰してみると、復帰後しばらくは妻が辛そうでした。その姿を見ると、1カ月は短かったかな…と思います。もし次に育休を取るタイミングがあれば絶対に3カ月取ろう!と考えています。
 現在、子どもは5カ月目ですが、よく寝てくれているので私も妻も夜はぐっすり眠れています。夫婦で密かに「よく寝る子に育ってほしい」と目標を持っていたのですが、無事に達成できました。笑

 

「育休」以外で積極的に家事・育児を行うパパ社員

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 父親側が育休を取ることで母親の負担を減らすことができますが、一方で育休から復帰した後に仕事をしながら家事・育児まで行うことに難しさを感じる男性も多いのではないでしょうか。
 育休を取得した大西と、育休は取っていないものの家事・育児を積極的に行って家庭を支える2名の男性社員で、「育休」だけにとどまらない家庭への貢献方法について座談会形式で話し合ってもらいました。

Profile

育休取得者:大西浩二(写真:左)

5カ月の女児の父。妻の出産直後から1カ月間の育休を取得。

 

育休未取得者:川上貴士(写真:中央)

5歳と1歳の男児の父。出産前後に1週間程度の有給を取得。

 

育休未取得者:竹内浩晃(写真:右)

2歳の女児の父。退院後のタイミングで1週間程度の有給を取得。

 

家事・育児の理想を高く設定しすぎないのがポイント

川上さん、竹内さんのご家庭の状況や家事・育児をどのように行っているか教えてください

 

竹内:2歳の娘がおり、妻もフルタイムで働いています。私も妻も出身が関西方面のため両親からのサポートを日常的に受けるのは難しい状況です。家事・育児はおよそ5:5で行うようにしています。

 

川上:5歳と1歳の男の子がおり、妻は専業主婦です。家事・育児は担当を決めずに出来る方が行うという方法で進めています。家庭がうまく回っているのは、夫婦ともに家事に求めるレベルが高くなく、できる範囲で行っているからだと思います。

 

竹内・大西:うちも同じです!

 

川上:ある意味「手抜き」や「諦める」ということも重要なのかもしれません。笑 とはいえ、土日の朝・夜など自分が家にいられる時はほとんどの時間を家事・育児に費やしています。自分ができる時には半々以上の家事・育児を担おうという意識でやっています。

 

大西・竹内:おぉ~すごい…!!

 

竹内:私の場合、産休中は妻がほとんど家事をしてくれていましたが、妻が育休から仕事に復帰した頃から段々と積極的に行うようになっていきました。どちらかが家事をしなければ家庭が立ち行かないですし、一方が子どもを見ている間にもう一方の人が家事を行うようにしています。また、妻が仕事で遅くなる日は、私がフレックスタイム制※を使って早めに保育園にお迎えに行くなど、夫婦で連携して仕事と家庭生活を乗り切っています。

※予め定められた1カ月の総労働時間の枠内で各日の始業及び終業時刻を柔軟に調整できる制度

 

大西:すごいですね!私は育休から復帰した後は思うように家事・育児ができていないです…。

 

竹内:妻が育休の期間中もできる限り早めに帰宅するようにして、お風呂に入れるのは私も積極的に担当していました。お風呂に入れる時が唯一子どもと二人の時間だったので、大切にしたいなと思っていました。

 

大西:同感です!私も子どものお風呂はほぼ毎日担当していて、楽しみな時間です。

 

竹内:はじめは仕事で会えない時間を寂しく感じていたのですが、最近は娘が保育園で覚えてきた言葉を話してくれたりして、日々新しい発見があり楽しいです。

 

川上:うちは昨年次男が生まれたのですが1年ほど夜泣きがありました。夜泣き対策として妻と毎晩交互に次男の世話を担当するようにして乗り切りました。

 

竹内:寝室を分けて寝ていたということですか?

 

川上:はい。寝室を分けて、妻も朝までぐっすり眠れる日を作るようにしていましたよ。フルタイムで仕事をしながら夜通しの育児はかなり大変でしたが、頑張りました。

 

家事負担の軽減を重視した住まい選び

みなさん適度に肩の力を抜いて家事・育児を乗り切っているとのことですが、どのように工夫していますか?

川上:例えば洗濯物は畳まず、丸めて服用の入れ物にダンクシュート!でしまって、靴下などは使う時に揃えるようにしています。スーツではなく普段着で仕事をしているので、アイロンがけも不要で、もはや干してある服をハンガーから直接取って着ることもあります。

 

大西:実はうちも家事の中で夫婦ともに洗濯物を畳むのが嫌いでした。転居のタイミングで夫婦それぞれにウォークインクローゼットが持てる間取りの家を選び、干したものをそのままクローゼットにしまえるようにして嫌いな家事をやらずに済むようにしました。

 

竹内:うちはドラム式洗濯乾燥機を導入して、時短を図っています。さらに洗濯物を干す作業は量が多いと手間がかかるし、運ぶのが重いということを考慮して、家を建てる際に浴室を広めにして浴室乾燥機を付け、近くに洗濯機の置き場を作るなど負担軽減を実現するための間取りを考えました。

 

川上:育児に関して、うちは二人目で要領も掴めてきていたというのもあり、いい意味で「手抜き」ができるようになりました。
 子どもは1人1人違うので、世間一般の「育児マニュアル」的なものに当てはめようとしてもうまくいかないこともありました。例えば“粉ミルクの正しい作り方”や“夜はこれくらい寝る”等、育児マニュアルに合わせようとしても合わないことがあります。そういう時、お母さんはマニュアル通りにいかない、できないことで自分を責めて精神的に追い詰められてしまうこともあります。
 妻も、子育てがマニュアル通りにいかないことに悩んでいた時期があったのですが、夫婦で話し合って「手抜き」を許容していこうという方針になりました。

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大西:川上さんも竹内さんも家事・育児に積極的ですが、育休を取らなかったのはなぜですか?

 

竹内:出産後1カ月ほどは妻の母がサポートしてくれる予定だったので育休取得は考えていませんでした。育休という形ではありませんが、妻の退院直後に1週間ほど休みを取りました。やはり出産後は妻の体調が不安定ですし、サポートする必要がありました。

 

川上:うちも私の母がサポートに来てくれることになっていたので、一人目の時も二人目の時も出産前後に1週間程度休みを取った後は、母に任せようと思いました。

そもそも数カ月単位の期間育休が取れるということを認識していなかったのも理由の一つです。

 

大西:たしかに認識していないというのはありますね…。私も育休が取れるのか?ということから人事に聞きました!申請のフォーマットも男女兼用なのですが、記入内容がどちらかといえば女性向けで戸惑いました。

 

仕事と家庭を両立するために必要なこととは?

男性がもっと育休を取りやすくなるために必要なことは何でしょう?

川上:実際に育休を取った人が「どんな障壁を感じたのか」という点がわかるといいですね。

 

大西:障壁か…私の場合、障壁らしい障壁はなかったのですが、どうやって育休を取ればいいのかフローを知らなかったので、情報を探すことから始めました。また、取った後に給与面はどうなるかなどの情報も欲しかったです。育休中は会社ではなく会社が加入する健保から給付金が支払われるなど、複雑でわかりにくかったので育休を取る前と後のわかりやすいフローがあると良いです。

 

竹内:私も育休に関する資料を見たのですが、書いてあることが難しくてわかりにくかったです。

 

川上:普段使わない制度の話となると、難しい言葉を使っていたり、イメージしにくいというのもあり、資料の解読自体が難しいですよね。笑 手っ取り早く制度を使ったことのある人に聞きたくなります。

 

大西:私も育休取得前は、先に取っていた男性社員に色々と聞きました。制度を使う時に、利用経験がある人を紹介してもらえると嬉しいです。

 

川上:本当は育休を取りたかったのに取れなかった、という人は実際どれくらいいるのでしょうね…?育休を「取らない人」と「取れない人」ではそれぞれ課題が違いますよね。
 「取れない人」の中には、業務の調整がつかない人や健保からの給付金が給与の約7割になってしまうことで金銭的に難しい人もいると思います。取れない理由を要素分解してみると、育休取得にあたっての課題がわかりやすいのではないでしょうか。

 

大西:今後もっと育休を取りやすくするためにも現状・課題の可視化ができるといいですね。

 

竹内:エムティーアイは会社として子育てに理解があり、同僚も理解があって働きやすいです。育休に限らず、どのような選択肢があるのかわかると良いと思います。

 

大西:確かに選択肢を知らないとその制度を使うに至らないですよね。

 

川上:各家庭で状況も目指すゴールも違うと思います。まずは会社が用意している制度の選択肢を知り、それらを使って何を実現できるか個々人が考えることが仕事と家庭を両立していくために重要な第一歩なのではないでしょうか。

日本周産期・新生児医学会学術集会にて、『ルナルナ』が携わった研究がポスター展示されました

 2019年7月13日(土) から7月15日(月)にかけて、長野県松本文化会館にて第55回日本周産期・新生児医学会学術集会(http://jspnm55.umin.jp/)が開催され、妊娠・出産・育児に関する悩みをママ同士で相談できるアプリ『ルナルナ ベビー』が携わった「周産期うつ病とインタ-ネットヘルスリテラシーに関する大規模WEB...

 2019年7月13日(土) から7月15日(月)にかけて、長野県松本文化会館にて第55回日本周産期・新生児医学会学術集会http://jspnm55.umin.jp/)が開催され、妊娠・出産・育児に関する悩みをママ同士で相談できるアプリ『ルナルナ ベビー』が携わった「周産期うつ病とインタ-ネットヘルスリテラシーに関する大規模WEB アンケート研究」についての結果がポスター展示されました。

 

※「周産期」とは、妊娠22週から出生後7日未満までのことで、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間です。

 

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 本学会は「健康寿命延伸は周産期から」を今年度のメインテーマとし、妊婦や胎児、新生児の健康、それらを支える社会の仕組みについて多くの講演や研究発表が行われました。その中で『ルナルナ ベビー』は、淀川キリスト教病院 産婦人科と、東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学の医師らが行った調査に、ユーザーアンケートを通じて協力しました。
 同調査では、妊産婦の女性の半数近くが「周産期うつ病」に対する不安を感じているということや、「周産期うつ病」についての情報は、医療機関よりもインターネットから取得している人が多いことなどが明らかになっています。

 今回の調査結果をもとに、当社は今後も女性の健康情報サービス『ルナルナ』や母子手帳アプリ『母子モ』を筆頭に、産婦人科医療をとりまくあらゆるサービスの提供・連携を視野に入れ、一人でも多くの人が安心して子どもを産み育てることのできる社会の構築を目指します。

 

PDF★詳しい発表内容はこちら

内閣府が実施する“「子育て応援コンソーシアム」第4回会合”に、ヘルスケア事業本部 ルナルナ事業統括部長 宮本大樹が登壇しました

令和元年7月3日(水)に中央合同庁舎第8号館1階講堂にて開催された、内閣府が実施する“「子育て応援コンソーシアム」第4回会合”に、当社のヘルスケア事業本部...

令和元年7月3日(水)に中央合同庁舎第8号館1階講堂にて開催された、内閣府が実施する“「子育て応援コンソーシアム」第4回会合”に、当社のヘルスケア事業本部 ルナルナ事業統括部 統括部長宮本 大樹が登壇しました。

子育てコンソーシアム

 

 講演では、母子手帳アプリ『母子モ』の活用事例として、①健診や予防接種などの子どもの記録に活用する母子手帳としての機能 ②自治体をはじめとした、子育てに関わる地域のニュースやイベント情報などお知らせする機能 ③妊娠・子育てにかかわる知識を得るための、読み物や動画などの配信機能を軸に、母子手帳アプリの利用により自然と家族が子育てに参加できる事例や、ICTの活用により誰もが安心して笑顔で子どもを育てることのできる未来への展望についてお話ししました。

 

★「子育て応援コンソーシアム」第4回会合についてはこちら:https://www.cao.go.jp/minister/1810_m_miyakoshi/photo/2019-039.html

★子育て応援コンソーシアムについてはこちら:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/index.html  

 

 

“男性がもっと気軽に育休を取れる世の中になるといい” 育休取得者とその上司、双方が考える「男性の育休」とは

 エムティーアイでは社員の育児休業(以下、「育休」)後の復職率が97.4%(2013年10月~2018年9月実績)となっており、男女問わず社員が育休を取得できる環境が整っています。  2019年6月に自民党の有志が男性の育休「義務化」を目指す議員連盟を発足させるなど、男性の育休取得率向上を目指す気運が高まっており、当社でも女性社員はもちろん男性社員の育休取得が広まりつつあります。  今回は、最近注目を集めている「男性の育休取得」に焦点をあて、取得した男性社員と、社員の上司にあたるマネージャーにインタビューを行い、それぞれの経験について紹介します。   Profile 育休取得者:潮見 渚 2012年に新卒で開発職として入社。社内システムや広告配信システムの構築、オフショア開発のブリッジなど様々な開発業務に携わる。直近はエムティーアイの子会社である株式会社メディアーノに出向し、その日の天気に合わせて最適なコーディネートを提案するアプリ『おしゃれ天気』のサーバ周辺の開発を担当。  家庭では今年度幼稚園に入園した長女と2019年1月に生まれた次女の父。妻は第二子妊娠を機に職場を退職し、現在は家庭に専念している。  2019年1月中旬から4月末までのおよそ3カ月半、育休を取得。   マネージャー:石井 桂子 2009年に開発職として入社。社内システムを中心にバックエンドの開発からアプリ・WEBサイトの開発まで幅広い案件に携わる。2014年に株式会社メディアーノに出向し、現在5名のエンジニアを束ねるマネージャーとしてチームを率いる。   (株)メディアーノはエムティーアイの100%子会社です 初めての育休取得は期間変更や早産でバタバタのスタートに   育休取得はいつ頃から検討し始めたのでしょうか?    育休を取る半年前頃に妻と、「長女の面倒を見ながら二人目の育児を行うのは大変だよね」「育休取れたらいいね」という軽い感じで話をし始めました。...

潮見さん①

 エムティーアイでは社員の育児休業(以下、「育休」)後の復職率が97.4%(2013年10月~2018年9月実績)となっており、男女問わず社員が育休を取得できる環境が整っています。

 2019年6月に自民党の有志が男性の育休「義務化」を目指す議員連盟を発足させるなど、男性の育休取得率向上を目指す気運が高まっており、当社でも女性社員はもちろん男性社員の育休取得が広まりつつあります。

 今回は、最近注目を集めている「男性の育休取得」に焦点をあて、取得した男性社員と、社員の上司にあたるマネージャーにインタビューを行い、それぞれの経験について紹介します。

 

Profile

育休取得者:潮見 渚

2012年に新卒で開発職として入社。社内システムや広告配信システムの構築、オフショア開発のブリッジなど様々な開発業務に携わる。直近はエムティーアイの子会社である株式会社メディアーノに出向し、その日の天気に合わせて最適なコーディネートを提案するアプリ『おしゃれ天気』のサーバ周辺の開発を担当。

 家庭では今年度幼稚園に入園した長女と2019年1月に生まれた次女の父。妻は第二子妊娠を機に職場を退職し、現在は家庭に専念している。

 2019年1月中旬から4月末までのおよそ3カ月半、育休を取得。

 

マネージャー:石井 桂子

2009年に開発職として入社。社内システムを中心にバックエンドの開発からアプリ・WEBサイトの開発まで幅広い案件に携わる。2014年に株式会社メディアーノに出向し、現在5名のエンジニアを束ねるマネージャーとしてチームを率いる。

 

(株)メディアーノはエムティーアイの100%子会社です

初めての育休取得は期間変更や早産でバタバタのスタートに

 

育休取得はいつ頃から検討し始めたのでしょうか?

 

 育休を取る半年前頃に妻と、「長女の面倒を見ながら二人目の育児を行うのは大変だよね」「育休取れたらいいね」という軽い感じで話をし始めました。
 具体的に取得を考え、会社に打診したのは約3カ月前でした。第二子の出産予定日周辺に祖父母(妻の両親)に予定があり、出産直後の心身共にサポートが必要な時期に協力を得ることが難しいことが分かったためです。
 当初、育休取得期間は漠然と1カ月くらいを考えて上長やマネージャーに伝えていましたが、最終的には祖父母のサポートが受けられないこと、また4月に長女の幼稚園入園も重なっていることを考慮して、出産予定日から長女が入園して少し落ち着くであろう4月末までの3カ月育休取得を打診しました。

 

育休取得を打診した際、上長やマネージャーの様子はどのような感じでしたか?

 

 ありがたいことに、「取りな、取りな~」「いいね、頑張っておいで!」という調子で快諾してもらえました。
 当初マネージャーに相談した際、「取得期間は1カ月程度を想定している」と話していたのが最終的に3カ月半になってしまったので、社内の調整は大変だったと思います。もう少し早く打診すればよかったな…と思いました。

 

育休の取得が決まった後、手続きや業務の引継ぎなどスムーズに進みましたか?

 

 手続きは自分自身で行うことは多くなかったため、特に問題はありませんでした。しかし、育休を取る期間が定まってからの準備期間が短かったので、社内の手続きや業務調整を行うマネージャーは大変だったと思います。
 妻の出産予定日の約1カ月に、チームや部署へ育休取得をお知らせしました。
 業務は1カ月くらいで引き継ぎを行いましたが、早産になり、バタバタと休みに入ってしまったので、もう少し余裕をもって業務の引継ぎが始められると良かったと思っています。

 

「女性の育休取得は当たり前、でも男性の場合は…?」と不安があった

 

育休を快諾され、いざ育休を取得することになって考えたことはありますか?

 

 ポジティブな面と、ネガティブな面、両方ありました。
 ポジティブな面では、家族と一緒に過ごせる時間が増え、子供が成長する姿を見られることがとても嬉しかったです。
 普段そこまで残業は多くないのですが、長女が生まれたころは、ちょうど大きなプロジェクトが進行していて、業務が立て込む時期と重なり、毎日退社時間が遅くなっていたので、新生児から2~3カ月頃の成長する姿をなかなか見られませんでした。
 業務が落ち着き、気がついた時には生まれたてホヤホヤの新生児だった長女が人間っぽく成長してしまっていたので、もう少しじっくり成長を見たかったなぁ…という思いもあり、家族そろって子供の成長を見られるのはとても楽しみでした。

 

 一方ネガティブな面だと、エムティーアイでは女性社員が産休・育休を取得し、復帰することは当たり前ですが、男性の場合はどうなるのだろう?という不安がありました。
 社内の雰囲気からして育休取得は可能であろうことは分かっていたので、多少言い出すのにドキドキするくらいでしたが、実際に育休から復帰した後のことを考えると「居場所はあるのか?」「戻った時に仕事はあるのか?」という点が特に不安でしたね。
 また、育休を取得する3カ月半の間は人員が1人減ることになるので、大なり小なり職場のみなさんに迷惑をかけてしまう申し訳なさがありました。
 先にも話をした通り、育休取得期間を1カ月から3カ月半に伸ばしたり、早産だったため育休取得開始時期が早まったりしてチームに負担をかけてしまったと思います。

 

復帰後の不安があったとのことですが、復帰後の働き方に対してイメージはありましたか?

 

 不安はあったものの、普段から残業の多い部署ではないというのもあり、おそらく復帰後も復帰前と仕事のリズムはあまり変わらないだろうとイメージしていました。
 実際、復帰した今も育休取得前と大きくは変わっていません。

 

育休を取る際、ご家族や友人などに相談しましたか?また周りはどのように受け止めていましたか?

 

 私の両親に話した時は、金銭面のことだけ心配されました。笑 両親は、育休中に手当が出ることを知らなかったようです。
 友人の中にはSNSなどで育休取得を報告したりする人もいますが、私はあえて言うほどのことでもないかな…ということで周りにもあまり話していませんでした。
 また、家族と相談した上で、自分自身「なるようになる!何か問題が起こっても都度対応しよう」と覚悟を決めて育休取得することにしたので、育休を取ること自体には不安や焦燥感はなく、誰かに相談することはありませんでした。

 

スムーズな育休取得はチームのサポートがあったからこそ!

 

育休取得前、社内でかけられた言葉で嬉しかったものはありますか?

潮見さん②

 上長もマネージャーも二つ返事で育休を快諾してくれ、男性だからといって特別視されるようなこともなく応援してもらえたのは大変ありがたかったです。
 また、打診がギリギリになってしまったので社内手続きや部内業務の調整は大変だったと思うのですが、大変そうなところもあまり見せずに進めてくれていたと思います。
 今回は育休中の人員補充はなかったので、その間は人員が一人減ってしまうことになりましたが、チームからは「取ってらっしゃい」と温かく送り出してもらいました。
 共に働くチームや部署のみんなで私が抜ける分の穴を埋めるようサポートしてくれたおかげでスムーズに育休に入ることができたので、とても感謝しています。

 

育休期間は想像以上に幸せな時間を過ごせた

 

次に、育休取得中から取得後についても教えてください。育休中は主にどのような役割を担っていたのでしょうか?

 

 育休取得前から妻と話し合い、長女は主に私が見て、妻は次女の育児に専念するというおおよその分担は決まっていたので、スムーズに家庭に入れました。
 私は料理が苦手なので、食事の用意は妻がすべて行ってくれていました。料理以外の家事と長女の面倒を見るのが主な役割でした。

 

▼育休中の大まかなスケジュール

7:00

 起床し、長女の身支度などを済ませる

8:00

長女に朝ごはんを食べさせる

9:00

 長女と遊ぶ

 この間に、妻が昼ごはんの準備

11:00

 長女に昼ごはんを食べさせる

12:00

 長女とあそぶ

14:00

 長女におやつを食べさせる

15:00

 長女と遊ぶ

 夕方の時間帯は次女の寝かしつけをする

 妻はこの時間に夕食の準備

17:00

 夜ごはんを食べる

18:00

 長女とお風呂に入る

 寝る準備

20:00

 長女の寝かしつけ

21:00~翌朝

 次女の育児サポート

 ※長女が寝てからは自分の時間も少し取れる

 

すべての時間帯で長女の世話だけでなく、次女のおむつ替えなどもしていましたが、次女のサポートは3:7くらいの割合で妻がメインに行っていました。

 

実際に育休を取得し、家族のサポートを行ってみてわかったことはありますか?どのようなことを考えましたか?

 

 実際に家族と過ごしてみて、想像以上に毎日楽しかったし、とても幸せな時間でした。
 生まれたての次女の成長を毎日見られたことはもちろん、長女がだんだん「お姉さん」として次女にやさしく接している姿を見るのも嬉しかったです。長女は少し人見知りのところがあるので幼稚園に入園してうまくやっていけるか心配していたのですが、一人で集団の中に入っていく姿に、すごく成長を感じました。

 

男性も、もっと気軽に育休が取れる世の中になると良い

 

 二人の育児に携わってみると、妻一人だけで二人の子供の面倒を見ることはかなり難しかっただろうと実感しました。
 次女が生まれて、軽度ではありますが長女が赤ちゃん返りしていました。また、はじめは良い子にしていた長女も1~2カ月経つ頃には、毎日パパがいる状況にも慣れてきて、わがままを言うようにもなってきます。笑
 いつもは自分でごはんを食べている長女が「食べさせてくれないとイヤ!」と言うので、ごはんを食べさせてあげるだけで1時間以上経ってしまう感じで一日があっという間に過ぎていきました。
 このような状況の中、妻一人で長女の世話をしながら次女の育児もするのは難しかったと思うので、私がサポートに入ったことで多少なりとも妻の負担を軽減することができて良かったです。
 育休を取って家族で過ごした時間は、思った以上に幸せなものでした。
 男性も育休が取れるということは知っていたものの、事例が少ないというのもあり「実際に認められるのか?」と半信半疑な部分はありましたが、取ってみて本当に良かったです。
 人それぞれ考え方がありますし、「仕事を中心に生きたい」という明確な意思があるのであれば話は別ですが、少しでも家庭や育児に携わりたい気持ちがあるならば、他の男性社員も育休取得を前向きに検討することをお勧めしたいです。
 また、社内はもちろん、社会全体的に男性がもっと気軽に育休を取得できる世の中になっていくと良いなと思いました。

家族写真_加工済み

育休取得に対する妻からのコメント

 一人目のときの出産直後はとても大変だったため、次女の出産後に長女を十分にケアすることは難しいと考え、産後から長女が幼稚園に入ってペースがつかめる4月末まで育児休業を取得してもらいました。
 夫が長女のケアをしてくれたからこそ、長女も心に余裕をもって新しい家族である次女を迎え入れて可愛がることができたのではないかと思います。とてもありがたかったです。
 また、兄弟姉妹がいるとなにかと後回しになってしまう下の子のケアも、人手が足りていることで待たせることなく対応できたので、無駄に泣かせることもなく、母子ともに和やかに過ごすことができました。
 今回は二人目の出産で育休を取得してもらいましたが、なにもかもはじめてで辛かった一人目のときにも夫のサポートが欲しかったな…と思います。
 男性も育休を取得することで、育児に対するお互いの負担を軽減するだけでなく、日々めまぐるしく変化する赤ちゃんとかけがえのない時間を過ごせる貴重な時間になると思います。

 

 

続いて、チームのマネージャーである石井から育休取得にあたって行ったこと、協力体制の構築などマネジメントの立場から見た男性の育休取得について話を聞きました。

 

石井さん潮見さん_修正

覚悟を決めて受け入れた育休期間の変更、部署をあげてのフォローアップ

 

まずは育休取得を打診された際、どのようなことを考えましたか?

 

 育休取得の数カ月前に初めて育休取得について相談を受けました。その際、育休の取得期間の希望は1カ月ということで相談を受けていたので、1カ月であれば業務調整をすれば問題ないだろうと考えていました。
 しかし、取得予定の1カ半前くらいのタイミングで、やはり期間を3カ月に変更したいと打診を受けました。その時に「人員どうしよう?」「業務調整だけで大丈夫か?」という課題が頭に浮かんだものの、部署としても私個人としても希望通りに育休取得してもらいたいと考えていたので、どうにかしてサポートしようという気持ちでした。
 育休まで時間が無い中で急に人員を補充するというのも難しかったため、マネジメント側としては、「3カ月どうにかして乗り切ろう!」と覚悟を決めました。

 

当初の想定より長くなった育休期間はどのようなフォロー体制を構築していたのでしょうか?

 

 サービスの企画側から出てくる開発側への要望や要求の中には、普段、潮見さんが担当する領域のものもありましたが、その領域で対応できない分、他の領域に手を入れることで要望を形にできるように対応してクオリティを担保しました。
 具体的に言うと、潮見さんは『おしゃれ天気』というアプリのサーバ周りの開発を担当していたのですが、通常サーバ周りの開発で対応することをアプリ側の開発で対応することで、企画側が実現したいことを実現できるようにしました。※
 普段からどうすれば要望を実現できるか、その時々で実現可能な方法を検討して対応する方針で業務を進めているので、潮見さんがいない期間の特別対応ということではなく、普段業務を進める上で積み重ねてきたものがベースにあったからこそ、普段の延長線上で違和感なく対応ができたと思います。

 

※サーバ側とアプリ側それぞれに専門性をもつ開発者がおり、担当が分かれています。

 

人員が少なくなった分、チーム内で負荷がかかる人もいたのでしょうか?

 

 なるべく業務調整を行って、特定の人員に負荷がかかる状態にならないようにしました。
 私自身、業務調整によって担当する領域が増えたということもありマルチタスク感はあったものの、大幅に労働時間が増えることもありませんでした。
 また、業務が多岐にわたっていることを周りの人も理解し、企画側も開発側も協力してくれていたおかげで、大変さはあまり感じませんでした。

 

それでは、育休を取ることによってチームとして困ったことはあまりなかったということでしょうか?

 

 業務上はさほど困ることはありませんでした。
 しかし私自身、今回初めてチーム内で育休を取る人に対応することになり、初めてのことが多かったので戸惑うこともありました。例えば期初に立てた目標に対する達成度の評価など、事前に育休取得期間を考慮していなかったことへの対応です。
 育休取得期間が急遽変更になったり、取得開始時期が早まったこともあり、細かい部分で十分に詰め切れなかったので、もう少し早くから休む期間を考慮した対応を始められていればよかったなと思います。

 

育休を取りやすくするために大切なことは「普段からみんなで助け合う環境づくり」

 

今後、社員がもっと育休を取りやすくなるためには何が大切ですか?

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 今回の潮見さんの育休期間を振り返ってみると、3つ良い点があったと思います。
 1つ目は、個人が持つノウハウや普段の業務の進め方をチーム内で使っているバックログなどのツールに資料として残していたことです。潮見さんがいない間も、その情報を見て他の人が対応することができていました。

 

 2つ目は、普段から課題に対してトライ&エラーをくり返しながら自分のできることを積み上げて、実現していく土壌ができていたことです。
 私たちはM&Aを経て、もともとは他社が運営していたサービスを多く扱っています。人が作ったサービスに対して、どうやって自分たちがやりたいことを実現するか、課題に対してチャレンジしていかなければならない状況もあり、普段からチームのメンバーが個々人の能力をいかして、課題解決に向き合っています。
 そのため、人が抜けることにより今までやったことのない領域の課題や要望に対峙しなければならない場合にも、フットワーク軽く対応することができたのだと思います。

 

 そして最後に、普段から企画と開発が密にコミュニケーションが取れていて、部署全体として協力しあう雰囲気が醸成されていたことが良かったのではないかと思います。
 企画側も開発側もお互いの事情を汲もうという意識が形成されており、大変な中でも調整をつけられる環境になっていました。
 ここ1年で企画職の社員とも1on1を行って話す機会が増えたり、合宿を行って部署としての一体感が醸成されたことによって「育休を取りたい」と言い出しやすい環境になり、育休を取る人をみんなでサポートしようという風土ができてきたのではないかと思います。
 部署内での協力体制があることで、育休を取る人もサポートする周りの人たちも「自分ひとりだけで何とかしなければ」と思わずに済み、安心して業務に取り組むことができると思います。
 普段から意識せずともみんなで助け合う環境が整っていれば、それぞれの社員が要望を言い出しやすくなり、育休を取りやすくなることに繋がるのではないでしょうか。

 

 

 育休を取得者、また育休取得者のチームマネージャーともに「もっと男性も育休を取りやすい世の中になると良い」「育休はもちろん、それぞれの社員が家庭の事情に合わせて働きやすい環境を作りたい」という考えを持っていました。
 女性の健康情報サービス『ルナルナ』や母子手帳アプリ『母子モ』を運営する当社は、妊娠・出産・子育てなどの人生のライフイベントをサポートする企業として、様々なライフステージに立つ従業員全員がいきいきと働ける環境づくりに注力しており、従業員自らも働きやすい環境づくりを日々行っています。

母子手帳アプリ『母子モ』が「BabyTech Award Japan 2019」の妊娠部門において優秀賞を受賞!

     (株)エムティーアイが企画・開発した母子手帳アプリ『母子モ』が、優れた育児向けIT商品を表彰する「BabyTech Award...

BTAS2019×boshimo

 

 

 (株)エムティーアイが企画・開発した母子手帳アプリ『母子モ』が、優れた育児向けIT商品を表彰する「BabyTech Award Japan 2019」(株式会社パパスマイル主催)の妊娠部門において優秀賞を受賞しました!

 

 『母子モ』は、妊産婦と子どもの健康データの記録・管理や予防接種のスケジュール管理、出産・育児に関するアドバイスの提供から、離れた地域に住む祖父母など家族との共有機能、自治体が配信する地域の情報をお知らせするなど、妊娠から出産・育児までをフルサポートし、家族・地域とつながる安心の子育て支援アプリとして、現在170以上の自治体で導入されています。

 

 今後も、誰もが安心して妊娠・出産・子育てできる環境づくりを目指し、子どもの健やかな成長に役立つ地域に根ざしたサービスとして発展し続けます。

 

★BabyTech Award Japan 2019について:https://babytech.jp/2019/05/bta2019_kettei/  

★母子手帳アプリ『母子モ』について:https://www.mchh.jp/login

 

『ルナルナ』が日本産婦人科学会の学術講演会へブースを出展しました

 毎年春に行われる日本産科婦人科学会学術講演会は、日本全国から医師や関連企業が集まり、産婦人科領域の学術的演題や、臨床的な教育プログラムなどをもとに未来の医療を考えるイベントです。第71回目を迎える今年は「真理の追究」をメインテーマに、4月11日(木)から14日(日)までの4日間、名古屋国際会議場で行われました。 今回、学会のブースにおいて女性の健康情報サービス『ルナルナ』も出展しましたので、その様子をお届けします。      ここ数年、『ルナルナ』では医師と女性をつなぎ両者の懸け橋となれるよう、ICTを活用した妊活支援や産婦人科における診察・診療のサポートとなるサービスの提供に力を入れています。そんな『ルナルナ』のブースでは、『ルナルナ』で記録した月経周期や基礎体温などの情報を診察時に医療機関へ連携することで、スムーズでより個人に合った診察をサポートする「ルナルナ...

 毎年春に行われる日本産科婦人科学会学術講演会は、日本全国から医師や関連企業が集まり、産婦人科領域の学術的演題や、臨床的な教育プログラムなどをもとに未来の医療を考えるイベントです。第71回目を迎える今年は「真理の追究」をメインテーマに、4月11日(木)から14日(日)までの4日間、名古屋国際会議場で行われました。
 今回、学会のブースにおいて女性の健康情報サービス『ルナルナ』も出展しましたので、その様子をお届けします。

 

luna_nissannpu

 

 ここ数年、『ルナルナ』では医師と女性をつなぎ両者の懸け橋となれるよう、ICTを活用した妊活支援や産婦人科における診察・診療のサポートとなるサービスの提供に力を入れています。そんな『ルナルナ』のブースでは、『ルナルナ』で記録した月経周期や基礎体温などの情報を診察時に医療機関へ連携することで、スムーズでより個人に合った診察をサポートする「ルナルナ メディコ」や、『ルナルナ』と連携したクラウド電子カルテ『CLIPLA Luna(クリプラ ルナ)』の紹介を行いました。

 ブースには医師や学生など幅広い立場の人が訪れ、多くの医師から「『ルナルナ』を使っている患者さん、多いですよ」などの声をかけられました。また、学生の来場者は「ルナルナ メディコ」や『CLIPLA Luna』に目をとめ、「最近はこのようなサービスがあるんですね」と言葉を交わすなど、関心の高さがうかがえました。
 前年度に同学会に出展したときと比較すると、医師から『ルナルナ』を知っているよ、と声をかけてもらう頻度も高くなっており、少しずつ産婦人科の領域で『ルナルナ』の認知度が高まっていることが実感できました!
 また、「書き込み機能が欲しい」といった具体的な要望も頂いたり、今後は不妊治療の管理に特化したコースの提供も予定していることを案内すると、それに関しても期待の声を寄せて頂いたりと、臨床現場のニーズを知る機会にもつながり収穫の多い4日間となりました。

 

 当社は、今回の学会で得た知見や医療機関側の声をもとに、今後『ルナルナ』に限らず、母子手帳アプリ『母子モ』やオンライン診療サービス『CARADA オンライン診療』などの産婦人科医療をとりまくあらゆるサービスの連携を視野に入れています。利用者が一つのIDで健康診断の結果や体のデータ、服薬情報の記録・管理、オンライン診療や医療機関の予約などをワンストップで行えるような、シームレスでより便利な医療サービスが受けられる社会の構築を目指します。

 

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